SEバックナンバー

セイフティ・エンジニアリング「最新号~157号」

最近の巻頭言および一部記事を読んでいただけるようにしました

自然災害に関連して、防災関係の記事を公開しております

第45巻(3) 192号 / 2018年9月1日発行

巻頭言
  化学の眼で見る安全

   株式会社エス・ティー・ジャパン 代表取締役社長
     中川 孝郎

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リスクコミュニケーションの意義と基本

放送大学大学院 文化科学研究科 生活健康科学 教授
奈良 由美子

 リスクコミュニケーションとは、リスクについての個人、機関、集団間での情報や 意見を交換する相互プロセスのことである。今日では、環境問題、科学技術、食 品安全、防災、防犯など、さまざまな分野において必要とされ実践されてきてい る。本稿では、リスクコミュニケーションの意義、基本概念、手法概要、実践につ いて解説する。


ヒューマンエラーの抑止:その理論と実践

   国立研究開発法人産業技術総合研究所
中田 亨

 ヒューマンエラーを防ぐには、エラーに気が付きやすい体制を作り出すことが重 要である。人間の能力は不安定であり誰でも確率的にミスを犯すが、反面、いざ という時には機械よりも頼りになる。人間が得意な事を人間にさせるべきであ り、人間と機械の役割分担にも工夫が必要だ。また、ミスをした結果を叱るので はなく、普段の行動を見て、その良い点をほめるマネジメントが事故を防ぐ。


国際保険マーケットから見た日本のプロセス安全管理

マーシュ ブローカー ジャパン株式会社 シニアコンサルタント
高尾 義行

 保険業界は、大規模工場のリスク引受に当たってそのリスクの実態を調査し、 評価するリスクサーベイを実施している。国際保険ブローカーである弊社、マー シュの石油・石油化学工場のリスクサーベイによるリスク評価方法と、海外リス クエンジニアによる国内製油所・石油化学工場の実際の評価結果を紹介し参 考に供したい。


海外における安全対策

綜合警備保障株式会社  法人営業第三部 課長代理
                   長谷川 雄一

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 今日の国際情勢を考えれば、もはや、日本人であれば被害に遭うことはないと想 定することはできない状況にある。重要なのは、被害に遭う可能性と被害の程 度を低減するために適切な予防対策をとることにある。そこで、「海外安全のた めの三原則」など海外で活動する際の諸注意点と、最近日本で潮流になりつつ ある「海外安全対策に関する研修および訓練」の内容を中心に紹介する。


キャッシュレス社会におけるフィンテック、仮想通貨、人工知能の課題(前編)

Card Seek 代表
小河 俊紀

 北欧、中国をはじめとして世界的にキャッシュレス化が加速している。消費活性 化、レジ合理化、現金管理経費削減、犯罪防止、脱税防止など国ごとにその目的 は様々であるが、その向こうにブロックチェーンや人工知能を基礎技術とした仮 想通貨の世界も見え隠れする。キャッシュレスに慣れた外国人が多数来日する 2020 年東京オリンピック・パラリンピックを契機に、日本人の現金志向を改 革する処方箋を示す。

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第45巻(2) 191号 / 2018年6月1日発行

巻頭言
  個人ばく露濃度測定をリアルタイムに

   新コスモス電機株式会社 代表取締役社長
     髙橋 良典

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有機ケミカルハイドライド法による水素の大規模貯蔵輸送技術の安全性

千代田化工建設株式会社 技術開発ユニット 兼
水素チェーン事業推進ユニット 技師長
岡田 佳巳

 水素エネルギーを大規模に利用するためには、水素を石油や天然ガスと同様 にタンカーレベルで大規模に、安全に貯蔵輸送できることが不可欠である。 当社では、水素の大規模貯蔵輸送技術として、“SPERA 水素R”システムを開 発した。このシステムは水素をトルエンなどの液体化学品の分子中に貯蔵を行 い、常温・常圧の液体として貯蔵輸送を行う方法である。石油の成分の液体 を利用することから、水素を大規模に貯蔵輸送する際の潜在的なリスクを従 来の石油製品レベルまで低減できる安全性が高い方法である。本稿では、こ のシステムの概要と安全性について解説する。


大規模物流倉庫火災から考える巨大施設の災害脆弱性

   早稲田大学 創造理工学部建築学科 教授
長谷見 雄二

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 2017 年2 月に発生した大規模物流倉庫火災では、大空間の防火対策に使わ れた防火シャッターの2/3 が正常に作動せず、被害拡大の直接の原因となっ た。シャッターの作動異常の原因に基づいて、大規模システムで陥りがちなフェ イルセーフの欠陥、細部の弱点の影響の巨大化等を具体的に解説する。


産業安全の経済効果に関する検討

国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門
牧野 良次

 企業が労働災害や産業事故のリスクを低減するためにはコストがかかる。 では、企業はどの程度までコストをかけるのが適当なのだろうか? 本稿の目的はこの問題に答えるための道筋として経済学による基本的な考え方を示すことである。 安全対策の費用や仮に事故が発生した際に生じる損害額を明らかにし、 「この安全対策を実施したらこの程度の損害額減少効果が見込まれる」 という行動と結果の関係性を明らかにすることができれば、 安全対策実施のモチベーションアップを図るひとつの手段になると期待するものである。


病気としての疲労、警報としての疲労

一般社団法人日本疲労学会 理事
放送大学 神奈川学習センター 客員教授
                   小泉 淳一

 米国での経済損失だけでも170 億から240 億ドルになると推計されているが、 あまり認知されていない筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)について、 1984 年の米国Nevada 州Incline Village での集団発生から、 このME/CFS が精神疾患でも詐病でもなく、11C を用いたPET により、 脳内ミクログリアの活性化で示される神経炎症であることが確認されるまでをまとめている。


安全運転のためのドライバの疲労測定

横浜国立大学 大学院工学研究院 教授
高田 一

 自動車事故を減らすため、ドライバの疲労を運転中に測定し、 疲労の蓄積時には、休息を促すようなシステムがあるとよい。そこで、 シートに着座した被験者の官能評価、生理指標や体動から、疲労特性を定量的に評価する方法について述べる。 官能評価としては、12 項目のアンケート、生理指標は、心電位、筋電位、体圧分布、発汗、フリッカー値、 体動測定の3 次元磁気位置センサで測定し、疲労度の予測モデルを構築した。

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第45巻(1) 190号 / 2018年3月1日発行

巻頭言
  危機管理
  -今経済人に問われているもの-

   帝国繊維株式会社 代表取締役社長
     白岩 強

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化学物質管理のための情報収集

独立行政法人製品評価技術基盤機構 専門官
吉田 しのぶ

 日本の化学物質管理規制は用途や目的別に規制が定められており、使用する 物質がどの法規制に該当するのか、いくつもの規制を確認する必要がある。 また、リスクアセスメントやSDS 作成には、物質の安全性情報の収集も不可 欠である。ここでは、化学物質を管理するために必要な法規制や有害性情報 を、効率良く入手するための、インターネットから無料で公開されているデータ ベースについて、「NITE 化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)」を 中心に紹介する。
 「日本の化学物質管理制度について」は、SE189号に掲載されています。


サイバーセキュリティについて

   株式会社コモドジャパン 執行役員COO 営業推進部 部長
川口 賢

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 私達の生活になくてはならないインターネットだが、その利用率がますます高ま る中、日本企業に対するサイバー攻撃が増えている。その攻撃手法やトレンド のほか、表面化されにくい内部犯行を含めた事前対策について幅広く紹介する。 また、見落としがちなセキュリティ対策における残存リスクや、サイバー攻撃 を受けた際に発生する様々な復旧費用や、賠償責任に対する事後対策につい ても併せて紹介する。


病院情報システムと患者情報

国立研究開発法人国立国際医療研究センター
  理事長特任補佐・医療情報管理部門長
美代 賢吾

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 診療の過程の多くに情報処理がかかわっている。医療従事者の情報処理を支 援するものが病院情報システムであり、診療業務の効率化だけでなく、医療の 質の向上や医療安全の確立にも活用されている。患者情報は、究極の個人情 報であるが、未来の医療のための共有財産でもあるという視点も必要である。 近年では、病院情報システムを用いて、効率的に診療情報を収集する手法も 確立されてきており、ゲノム医療や医療AI など今後の医学の進歩にも寄与す ることが期待されている。


船体折損100 年の歴史と構造技術

横浜国立大学名誉教授
                   角 洋一

 船体折損事故は、科学技術の十分発達した現代でもなぜ起きるのだろうか? 筆者が直接事故調査に関わった重油タンカー「ナホトカ」折損沈没事故(1997 年)や大型コンテナ船「MOL コンフォート」折損沈没事故(2013 年)も含め、 その時代背景と技術の関係を考察しながら産業革命以後の船体折損100 年 の歴史を辿ることにしたい。時代とともに事故調査の進め方やその後の規則 改正などの国際的対応がどのように行われてきたかについても触れる。


危険性物質により発生した爆発・火災事例

独立行政法人労働者健康安全機構
労働安全衛生総合研究所 化学安全研究グループ
板垣 晴彦

 化学物質の爆発・火災についてリスクアセスメントを実施する際には、シナリ オを書き上げる必要があるが、その際には過去の災害事例を知っておくことが 役立つ。そこで、このシナリオ作成の参考となるように、5 件の災害事例につ いて、発生状況と災害発生のシナリオ、リスクアセスメントに活かす着目点に ついて述べた。

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第44巻(4) 189号 / 平成29(2017)年12月1日発行

巻頭言
  新技術の普及とリスク低減に向けた安全研究

   国立研究開発法人産業技術総合研究所
安全科学研究部門 研究部門長
     緒方 雄二

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事業所における放射線事故対応

国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
放射線医学総合研究所
富永 隆子

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 放射線、放射線源、放射性物質は様々な分野で日常的に使用されており、全 国各地の事業所で管理、保管され、安全に使用されているが、適切な管理、 使用を逸脱した場合、健康影響を惹起し、経済的・社会的インパクトを与える。 放射線が関係する事故、事件は非常にまれであるが、それ故に放射線源の特 徴、事故の特徴を理解し、放射線の安全な管理、使用を行うとともに、万が 一の事故・事件に備えて準備、計画するべきである。


微生物を利用した土壌浄化技術

   国立研究開発法人国立環境研究所 企画部次長
地域環境研究センター 土壌環境研究室長
岩崎 一弘

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 近年、有害物質などによる土壌地下水汚染は大きな社会問題となっている。 本稿では、環境負荷が小さくまた比較的低コストでの浄化が期待できる微生 物を活用した土壌浄化技術であるバイオレメディエーションについて紹介する。 また、関連する法律である土壌汚染対策法やバイオレメディエーションを利用 した指針などについても解説する。


日本の化学物質管理制度について

独立行政法人製品評価技術基盤機構 専門官
吉田 しのぶ

 日本の化学物質管理規制には包括的なものはなく、用途や目的別に規制を定 めている。日本の化学物質政策の歴史的変遷をみると、近年の化学物質規 制は、化学物質固有の危険性のみに着目したハザードベースの管理から、人 や環境への排出量(暴露量)を考慮したリスクベースの管理へとシフトしている。 GHS の国内への導入もあり、規制対象以外の物質についても危険有害性な どの情報収集が必要となっている。


「特定不活性ガス」と冷媒の可燃性

元・独立行政法人産業技術総合研究所
爆発安全研究センター
                   堀口 貞茲

 高圧ガス保安法において、新たに指定された特定不活性ガスについて性質お よび危険性などを解説した。地球温暖化に対して抑制効果のある低GWP 値 の冷媒ガスを選択する必要から、必然的に可燃性のものを使うことになり、 各種の微燃性冷媒が登場している。冷媒について可燃性などの危険性分類に ついて説明するとともに、可燃性の判断に使用される爆発限界の測定方法に ついても解説した。


化学プラントのリスクベースメンテナンス(RBM)

千代田化工建設株式会社 診断技術セクション
柴崎 敏和

RBM は、石油精製、石油化学プラントで過去発生した重大事故の防止、削 減の手法として米国で提案、その実効性が確認され既に20 年以上が経過し ている。国内においてもリスクマネジメントの一環として、プロセスプラントへ の適用を実施する方向になってきている。そのRBM の提案の背景、国内状況、 手法の概要、適用例について解説する。

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第44巻(3) 188号 / 平成29(2017)年9月1日発行

巻頭言
  IoT であらゆるものが繋がる時代の安全

   明治大学名誉教授
     向殿 政男

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化学物質の危険性のリスクアセスメント支援について

みずほ情報総研株式会社 環境エネルギー第1 部 コンサルタント
貴志 孝洋

 改正安衛法の施行に伴い、SDS 交付義務対象物質を製造または取り扱うすべての事業者は、 危険性および有害性のリスクアセスメントが義務付けられている。 ここでは、危険性を対象に現在厚生労働省で公開されている 「爆発・火災等のリスクアセスメントのためのスクリーニング支援ツール」を中心に、 危険性のリスクアセスメント支援ツールについて解説する。


量子暗号通信、その概要と安全性

   横浜国立大学 大学院工学研究院 教授
小坂 英男

 量子暗号通信はSociety 5.0 で迎えるサイバーフィジカル社会の情報セキュリティを、 量子力学と呼ぶ物理法則で絶対的に守ろうとする究極の情報安全技術です。 量子コンピュータ開発の急激な開発競争と呼応して量子暗号通信の技術が世界各国で本格化し、 誰もが想像していたよりも近い将来に普及することが予見されます。 本稿では、現代暗号から量子暗号まで全体を安全性の観点から比較し、 来るべき量子インターネット社会に向けた量子中継の取り組みを紹介します。


近赤外光を用いた液体検査

大阪大学名誉教授
糸﨑 秀夫

 液体の爆発物や危険物を用いたテロなどが頻発しており、 その対策として液体検査技術の開発が急務である。 近赤外光スペクトルを用いることにより、爆発物、可燃物、危険物、毒劇物、 薬物などと一般的な飲料物などとの区別が瞬時に可能である。 この方式を用いた検査装置は、すでに製品化され、その活用が期待されている。


硝酸アンモニウムの爆発事故

公益財団法人総合安全工学研究所 事業部長
                   中村 順

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 硝酸アンモニウムは、化合物自体ではほとんど爆発性を示すことはないが、 多量に貯蔵して火災などにより、不純物の混入や強い起爆エネルギーにより大きな事故を起こすことが知られている。 最近でもフランス、アメリカ、中国で人的・物的に大きな被害をもたらした爆発事故が起こっている。 2015 年に起きた中国の天津での港湾倉庫大爆発事故の調査結果および他の事故との比較について解説した。


ガス爆発による構造体破壊の数値シミュレーション

株式会社爆発研究所 代表取締役
吉田 正典

 可燃性ガスの燃焼爆発による構造体の破壊を数値シミュレーションする手法についてまとめた。 爆ごうにまで至らない燃焼爆発の場合の流体、構造双方向連成解析と、 爆ごうが生じる場合の流体から構造への一方向連成解析例について紹介する。

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第44巻(2) 187号 / 平成29(2017)年6月1日発行

巻頭言
  安全工学と人材育成

   三井化学株式会社 安全・環境技術部 部長
     出口 敦

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可燃性化学物質の安全管理

横浜国立大学 大学院環境情報研究院 教授
大谷 英雄

 危険物施設では、いわゆる消防法危険物が大量に貯蔵・取扱いされている。 ここではなぜ危険物が爆発する危険性が高いといわれるのか、燃焼学の見地 から解説する。可燃性ガスの燃焼の仕方、予混合燃焼と拡散燃焼の違いにつ いて解説し、予混合燃焼し易い物が爆発災害を起こし易く、危険物と呼ばれ ることの理解を深める。


静電気による爆発・火災および防止対策

   独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
 電気安全研究グループ
崔 光石
遠藤 雄大

 爆発・火災をはじめとする産業現場における静電気災害防止の一助となるよう、 静電気の基礎である静電気帯電・放電、静電気災害統計、事故事例、静電 気災害の防止対策を紹介する。また、可燃性物体の爆発・火災の防止対策と して実施される窒素パージの効果について、粉体の着火エネルギーと窒素濃 度の関係について筆者らが過去に検討した結果を踏まえて解説する。


化学プロセスの非定常リスクアセスメント
-非定常HAZOP 手法の活用-

有限会社システム安全研究所 所長
高木 伸夫

 化学産業における近年の重大事故は、プロセス異常発生時の対応操作におけ る誤りや、機器の保守作業などでの非定常時に発生したとされている。この 原因の一つに非定常時を対象としたリスクアセスメントの不足が挙げられてい る。化学プロセスの事故予防にあたっては、定常運転時に限らず非定常時を 対象としてリスクアセスメントを実施し、事故予防策を講じることが必要であ る。本稿ではリスクアセスメント手法の1 つであるHAZOP 手法の分類と概 要を示し、そのうち非定常リスクアセスメントにおいて活用できる手順 HAZOP 手法について概説した。


安全計装システムは何故売れないのだろうか?

横河ソリューションサービス株式会社 コンサルティング2部
                   五十嵐 英樹

 横河グループが、国内で本格的に安全計装システムを販売して20 年近くたと うとしている。この間、安全計装システムの販売に携わってきて、感じたとこ ろを書いてみた。


熱中症 -熱中症の現状と予防-

横浜国立大学 教育学部 教授
田中 英登

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 熱中症の発生は近年増加しており、気温35℃以上となる夏季には熱中症発 生を100%予防することは難しい状況となっている。そのため、発生してもど のように軽症で済ませるかを常に管理者や現場の職員が考えていくことが重要 である。熱中症発生の現状とともに基本予防対策(熱中症の症状の特徴、熱 中症が発生しやすい環境、発生しやすい人、発生時の対処法)について解説 する。

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第44巻(1) 186号 / 平成29(2017)年3月1日発行

巻頭言
  事故・ニアミスから学ぶ
  -責任追及ではなく原因究明

   東燃ゼネラル石油株式会社 代表取締役社長
     武藤 潤

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匂い検知技術の現状

九州大学 大学院システム情報科学研究院 主幹教授
味覚・嗅覚センサ研究開発センター センター長
都甲 潔

 一般に匂いセンサは低分子化合物を検知、定量するものであるが、 近年、イヌの鼻を超える超高感度匂いセンサが研究開発、販売されている。本稿では、 その原理について概説し、その応用発展形として、内閣府革新的研究開発推進プログラム (ImPACT)の1 つである宮田プログラム「進化を超える極微量物質の超迅速多項目センシングシステム」 の中の「有害低分子」プロジェクトに言及する。


スポーツ障害・外傷

   東京大学大学院整形外科学 講師
武冨 修治

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 スポーツでは、繰り返し動作や競技によっては特殊な動作で 組織の損傷を来たすため、一般外傷とは異なる病態を生じうる。そのため、 スポーツ障害・外傷の診断・治療には、十分な経験が必要である。 スポーツによる怪我は大きく外傷と障害とに分けられる。本稿ではスポーツ障害・外傷の代表例の診断 法および治療法、特徴的な病態を呈する女性や成長期のスポーツ障害・外傷 などについて解説する。


火災気流のモデル化の変遷

諏訪東京理科大学 工学部 機械工学科 教授
須川 修身

 火炎性状として温度や気流速度は、 火災安全設計の基本的かつ必須の情報であることから定量的評価が出来る物理モデル化が進められてきた。 最初は、鉄鋼塔への火災熱の影響を避ける離隔距離を定量的に推定するため、 火炎柱中の温度、気流速度がモデル化され、その後、火炎中の温度、気流速度のモデル化へと進み、 火災感知の基本的情報を得られる天井下火災気流のモデル化がなされ、さらに壁・壁隅の影響を受ける 火源での見かけの発熱速度を考慮した天井下気流の温度・気流速度のモデル化へと進んできている。


住宅用火災警報器設置義務化10 年を迎えて

新コスモス電機株式会社 取締役副社長執行役員
                   松原 義幸

 10 年前から始まった住宅用火災警報器の設置義務化は、2017 年に全国平 均設置率が81.0%となり住宅火災を未然に発見し火災件数は3 割減少した。 住宅火災による死者数も義務化後に減少したものの、ここ数年は1,000 人前 後で横ばい傾向である。今後設置から10 年を経過した住宅用火災警報器は その機能を果たさなくなるものが徐々に増えることからその維持管理が重要で あること、併せて火災時の一酸化炭素を検知する重要性について述べる。


圧力容器の損傷モードとその防止策

オフィスNOTO コンサルタント
能登 高志

 熱交換器を含む圧力容器は、石油精製プラントや石油化学プラントの重要な 構成要素である。圧力容器の損傷や破壊は、プラント全体の火災や爆発に結 び付きやすい。一般に圧力容器は、法規などで定められた厳密な設計規格に 従って設計・製作されるが、それらの設計規格も圧力容器の損傷モードすべて に対して考慮されたものではない。それらの損傷モードとその防止策について 解説する。

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第43巻(4) 185号 / 平成28(2016)年12月1日発行

巻頭言
  「安全工学グループ」の設立について

   安全工学グループ 代表
     デンカ株式会社 特任嘱託
             伊藤 東

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ヒューマンファクターと安全文化

慶応義塾大学大学院
  システムデザイン・マネジメント研究科 教授
高野 研一

 ヒューマンファクターによる事故を低減するには、個人、職場、 組織の各レベルで自律的な活動や取り組みが必要になる。 本報では、これまでの事故事例 を考察し、人・組織の問題解決が必要であることを示した。さらに、古典的な 確率論的安全評価(PSA)では、その問題に対応できないことを示すとともに、 これからの事故防止戦略として、安全文化の導入が不可欠であることを述べ た。最後に、筆者らが開発した安全文化8 軸ごとに複雑で大規模なシステム の事故対応の方向性について述べた。


食品安全と食品衛生について

   北海道大学名誉教授
一般財団法人日本食品分析センター 顧問
一色 賢司

 人間は従属栄養生物です。食べ物が必要です。飢餓に耐えながらも、食べる ことで健康を害さないように、食中毒などの原因を調べ、対策を実行してきま した。やがて、科学技術を駆使しても、食生活に伴うリスクをゼロにできない ことが認識されるようになりました。リスクを許容範囲のものとするために、 食経験や食文化を活かしながら、科学的な根拠を持つ対策を実施するように なりました。


ドローンを活用したセキュリティサービスの提案

セコム株式会社 技術開発本部 開発センター
神山 憲

 近年、防犯意識の高まりから敷地内に固定監視カメラを設置するケースが増 加している。ドローンはオンライン・セキュリティシステムの新たな映像監視の 形として考えられた、民間防犯用としては世界初となるドローンによるご契約 先敷地内の侵入監視サービスを提供する警備システムである。本稿ではこの サービスの概要と特徴について説明を行う。


防犯カメラ映像の解析技術

警察庁科学警察研究所法科学第二部 物理研究室 室長
                   黒沢 健至

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 近年、防犯カメラは金融機関や店舗、空港、駅など多くの場所に設置され、 防犯あるいは犯罪捜査活動などに効果を発揮している。本稿では、防犯カメ ラによって撮影された映像の解析技術について、個人識別、画像計測、画質 改善・鮮明化処理、異常検出といったテーマを取り上げて概説する。


有害光 -特に溶接におけるその問題について-

高齢・障害・求職者雇用支援機構
職業能力開発総合大学校 能力開発院
基盤ものづくり系(溶接ユニット)助教
中島 均

 生産現場における作業環境内には有害光の様々な発生源があり、それによっ て多くの障害が発生している。有害光の危険性のある場合には、適切な有害 性評価に基づいた正しい対応が望まれる。有害光の発生源の中では、特に、 アーク溶接が多くの障害を引き起こしており、重要である。実際、アーク溶接 で放射される紫外放射と可視放射の測定、評価は、これらの放射の有害性が 非常に高いことを示している。

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第43巻(3) 184号 / 平成28(2016)年9月1日発行

巻頭言
  安全な国?

   特定非営利活動法人安全工学会 会長
     東京大学 環境安全研究センター 教授
             新井 充

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プロセス安全管理システムの実践的構築と運用

東京工業大学 名誉教授
仲 勇治

 自主管理を原則に安全管理の仕組みを構築し、運用すべきだという考え方が 本格的になり、国際的にも参考になる様々な管理システムが提案されている。 近年、幾つかの企業がこれらの複数のシステムを統一したシステムを構築し始 めている。本稿ではプロセス安全管理システムを実際に構築するときの基本に ついて考察する。


セベソ指令と英国における取り組み

   横浜国立大学 環境情報研究院 准教授
熊崎 美枝子

 化学産業では化学物質が人や環境に対して深刻な影響を与えるリスクを十分に 低減し、化学物質が係わる大災害を防ぐ手段を適切に講じることが求められ ている。本稿ではEU 域内で制定されたセベソ指令と、その英国国内法に対 応して2015 年に改正されたCOMAH(Control of Major Accident Hazard) について概説する。


水素ステーションの社会実装に向けた安全性評価

横浜国立大学 先端科学高等研究院 教授
三宅 淳巳

 水素社会の実現に向け、燃料電池自動車用水素ステーションの安全性評価に 基づく法規制の見直しを通した社会実装研究の一部を紹介した。水素ステー ションの事故事例解析、HAZID study による事故シナリオ分析、リスクアセ スメントを実施し、適切な安全対策を施すことにより安全性を確保したまま規 制見直しを可能にする情報を提供し、さらに、システムの社会受容性に関す る検討について紹介した。


フォークリフトの接触系災害

元独立行政法人労働安全衛生総合研究所研究企画調整部
                   深谷 潔

 厚生労働省が公開している災害データ(休業4 日以上の死傷災害)を用いて、 フォークリフトの災害分析を行った。事故の型別では、挟まれ・巻き込まれ、 激突され、激突の3 つで3/4 を占めている。これについて、事故概要を読み、 被害者別、走行状態等の分析を行った。 被害者について、激突災害では運 転者が多く、激突され災害では運転者以外、挟まれ・巻き込まれ災害では運 転者とそれ以外の両方に多い等が分かった。


大学における安全管理

東京大学 大学院工学系研究科 教授
土橋 律

 大学においては、専門的な教育・研究がおこなわれており、そこでの安全管理 は重要である。2004 年の国立大学法人化以降、組織的な安全管理が導入さ れ、管理の充実がおこなわれてきた。最近の動向として、リスクアセスメント の導入、高等教育を受けた学生の素養としての安全教育なども検討されている。

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第43巻(2) 183号 / 平成28(2016)年6月1日発行

巻頭言
  安全が全てに優先する

   株式会社三菱ケミカルホールディングス 執行役専務
             唐津 正典

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日本の海難事故の発生状況と対策

 国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所
海上技術安全研究所 運航・物流系
運航解析技術研究グループ 主任研究員  南 真紀子

 わが国周辺海域では、大型船舶の衝突や漁船の転覆事故などの海難事故が 依然として高い水準で発生している。特に衝突事故は、人命にかかわるばか りでなく燃料油や積荷の流出による自然環境等への悪影響も懸念されるが、 同じような場所や原因で繰り返し発生する傾向がある。そのため、再発防止 には航行する海域の事故発生状況などをあらかじめ把握しておくことが有効で あると考えられる。本稿では、最近の海難事故の発生状況および衝突事故を 対象とした再発防止対策について紹介する。


炭素繊維ケーブルを使用したペンダントロープの繰返し引張荷重特性

   独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
機械システム安全研究グループ 上席研究員
山際 謙太

 炭素繊維を活用したクレーン静索ロープ(CF ペンダントロープ)がある。鋼 製ワイヤロープについては、繰返し荷重による強度特性などについては様々な 試験が行われているが、炭素繊維のロープについては行われていない。本稿で は、CF ペンダントロープの繰返し軸荷重の試験について触れ、強度特性に ついて解説する。


自己治癒材料の特異な構造健全性

横浜国立大学 工学研究院 准教授
中尾 航

 自己治癒材料は、稼働中に積極的に化学反応を機能として活用する次世代構 造材料である。これまで材料の劣化因子とされた化学反応を信頼性改善、長 寿命化の機能として活用しているため、自己治癒材料の実用には、新しい安 全性評価指針や信頼性評価法が必要とされている。本稿では、代表的な自己 治癒材料を紹介し、著者らが検討している自己治癒材料の信頼性解析指針に ついて解説する。


重要インフラ事業者が理解するべきサイバーセキュリティの動向

セコム株式会社IS 研究所
                   コミュニケーションプラットフォームディビジョン
 マネージャー
松本 泰

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 過去から現在までのサイバーセキュリティの動向を概観することにより、重要 インフラ、重要施設でのサイバーセキュリティに取り組む重要性を説明した。 一般的に重要インフラ、重要施設の設備は、一般の情報システムより長いラ イフサイクルを持ち、サイバーセキュリティの対応を根本的に行うには、非常 に時間がかかると考えられる。非常に時間がかかるからこそ、既存の重要イン フラのサイバーセキュリティの対応は、喫緊の課題と認識するべきである。


災害リスク情報サービスについて

株式会社パスコ システム事業部 事業部長
橘 克憲

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 企業や各種団体などの防災担当者は、大規模な地震だけではなく、比較的発 生する頻度が高い台風や水害などへの災害対応にも追われている。気象庁の 降雨や風速の予測情報を活用し、地図上に施設の位置、周辺の道路や鉄道 などの規制情報を重ね合せることによって、事前に災害発生のリスクを把握す ることができる。それによって、事前の災害対策を検討および実施することが でき、様々な被害を未然に防ぐことができる可能性があることが示唆された。 したがって、気象情報と様々な施設情報を地図上に重ね合せた地図情報を活 用したクラウドサービスは、企業や各種団体などの事業継続管理(BCM)にとっ て有用なものであるといえる。

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第43巻(1) 182号 / 平成28(2016)年3月1日発行

巻頭言
  特集号「自然災害の防災」

   セイフティ エンジニアリング編集委員長
             福富 洋志

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地球温暖化:最新の科学的知見

 一般財団法人リモート・センシング技術センター 参与
近藤 洋輝

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 異常気象による自然災害が近年激化しているが、 それに関連する地球温暖化に関し、その問題の発端にも触れた上で、 最新の科学的知見を、主に近年発表のIPCC 第5 次評価報告書により示す。 温暖化は疑う余地がない、その原因は人為起源によることは極めて可能性が高いと評価された。 将来の予測結果として、熱波の頻度やより強い豪雨などが予測され、今後気象災害は、 想定外の頻度・規模への備えや再現期間の見直しが必要といえる。

河川の洪水氾濫と企業の水災対策について

   株式会社日立パワーソリューションズ
情報システム部 技師
山口 悟史

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 2015 年9 月に茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊、 その被害が大きく報道された。 にもかかわらず、水災リスクは漠然とした不安のまま放置されがちで ある。本稿では、水災を定量的かつ具体的にシミュレーションすることで、関 係者一同が理解し、対策を進めることができる具体的な対象にできることを、 事例をもとに述べる。また、対策を効率的に進めるために、水災リスクの高い 事業所を見極め、そこから優先して対策する手順を示す。

地震災害への備えと対応

国立研究開発法人防災科学技術研究所
社会防災システム研究領域長
藤原 広行

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 地震災害を軽減するための技術には大きく分けて2 つのアプローチがある。1 つは地震災害への事前の備えのための技術であり、もう1 つは地震が発生し たときの迅速な対応のための技術である。このうち、事前の備えのための技 術として、東日本大震災の教訓を踏まえて改良が進んでいる地震ハザード評 価の技術開発の現状と、発災時の対応のために最新のICT 技術を駆使した リアルタイム地震被害推定・状況把握技術の現状について報告する。

街が沈む -地盤の液状化-

関東学院大学 理工学部 教授
若松 加寿江

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 東日本大震災における液状化被害の実態を紹介し、液状化発生のメカニズム を解説して液状化被害は同じ場所で繰り返される災害であることを示す。 液状化が発生しやすい土地の見分け方、液状化が起きた場合の被害、 および液状化対策について解説する。

建築物の竜巻被害の概要と竜巻発生装置を活用した
研究の展開

国立研究開発法人建築研究所
構造研究グループ 主任研究員
喜々津 仁密

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 近年では、国内で相次ぐ竜巻の発生と被害の甚大さが社会的に 大きなインパクトを与えている。しかしその一方で、現状では、建築物の設計に反映できる だけの竜巻の観測データなどの技術的な知見が不十分であり、被害発生後の 人命・財産・機能への影響に配慮した竜巻対策や設計検証法の整備が求めら れている。このような状況を背景にして本稿では、最近の現地調査結果を通 して建築物の竜巻被害の実態を紹介し、竜巻発生装置を活用した実験的研究 の概要と今後の展開について述べる。

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第42巻(4) 181号 / 平成27(2015)年12月1日発行

巻頭言
  技術伝承は安全伝承である

   宇部興産株式会社 常務執行役員
             三隅 淳一

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フランス・産業安全文化研究所(ICSI)について

 慶應義塾大学 大学院システムデザイン・マネジメント研究科
特任助教  東瀬 朗

 フランス・産業安全文化研究所(ICSI)は産官学が連携して、産業安全に関 する研究・教育・実践を行う機関である。多くの企業と連携して、多数の安全 に関する専門家を大学院教育を通じて送り出すとともに、安全に関する改善 プログラムや研修を提供し、かつ各企業や各種団体が安全に関して密接な情 報交換をする場として機能している。近年ではラテンアメリカ諸国をはじめとし た海外展開も積極的に行っている。本稿ではその活動の一部を紹介する。

異文化の中での安全マネジメント

   エーザイ株式会社 総務・環境安全部
遠藤 真一

 インドにおいて、医薬品の研究施設・生産施設を含む16 施設を同時に建設 するグリーンフィールドプロジェクトに一人駐在員として参画した。すべて現地 の業者を選定し、現地の工事方式を踏襲しながら、日本品質の製品を生産で きる施設を、500 万時間以上の無事故・無災害記録を達成して、完工した。 現地工事へのアプローチや安全教育の実践、来訪者の受入対応などを中心 に、異文化を受け入れながら実行された安全管理について振りかえる。

爆発の周囲への影響-爆傷問題-

国立研究開発法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門 研究主幹
中山 良男

 爆発が周囲に与える影響、特に人への損傷(爆傷)と爆風圧の関係について 解説した。爆傷のなかでも、現在関心が高く活発に研究が行われている爆発 による軽度外傷性脳損傷についても説明した。また、爆発物テロ時の避難距 離や避難時の安全対策などについて概説した。

電磁界の生体影響、ガイドラインと国内外の動向

独立行政法人労働安全衛生総合研究所
健康障害予防研究グループ 主任研究員
山口 さち子

 科学技術の発達によって家電や通信技術の利用が身近になるにつれ、今やわ れわれは、身のまわりの電磁界(電磁波)と共存して生活している。電磁界の 生体影響については、コミュニケーションの不足によって必要以上に不安を抱 えられている側面もある。短期的な生体影響については長年の研究で事象やば く露限度値が科学的に立証されている。本稿では電磁界の生体影響について 解説したのち、代表的な国際的ガイドラインと国内外の状況、当研究所で実 施している職業磁界ばく露調査について紹介する。

地下水の汚染とその保全

麻布大学 生命・環境科学部 環境科学科 教授
稲葉 一穂

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 地下水は飲用水源として重要であるが、様々な汚染と健康影響が報告されて いる。地下水は見えない地下を流れているという特徴から、河川や湖沼のよう な表流水と異なり、汚染の発見や浄化に時間がかかること、汚染の進行方向 などの予測が難しいことなどの問題がある。本稿では、このような地下水汚 染の特徴を解説するとともに、有機塩素系溶剤と硝酸性窒素を事例として、 わが国での地下水汚染の現状とその対策について概説する。

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第42巻(3) 180号 / 平成27(2015)年9月1日発行

巻頭言
  産業界の安全向上を支援する保安力評価システム

   特定非営利活動法人安全工学会・保安力向上センター センター長
   国立研究開発法人産業技術総合研究所 客員研究員
             若倉 正英

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危険物輸送に関する国連勧告

 一般社団法人日本海事検定協会 安全技術サービスセンター
調査研究チーム チームリーダー  濵田 高志

 個品危険物の国際輸送規則は、輸送モード毎に「危険物輸送に関する国連勧 告」を基に策定されている。本稿ではこれら個品危険物の輸送規則の基となっ ている「危険物輸送に関する国連勧告(モデル規則)」についてその概要を解 説する。

安全な手術
 -より安全な手術を求める世界の動き-

   新潟勤労者医療協会 下越病院 麻酔科医師
市川 高夫

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 世界中で手術患者の安全を推進させるキャンペーンが行なわれている。安全な 手術を患者さんに提供するには、WHO の安全な手術のためのガイドライン 2009 や各種学会の指針などの標準手順を参考にすることと、起こった合併 症などから要因を分析して改善する2 つの方策が求められている。決められた 手順が行なわれるかの最後の確認と、チームのノンテクニカルスキル向上の ツールがWHO 手術安全チェックリストである。

MRI の安全性

東京大学医科学研究所附属病院 准教授
桐生 茂

 MRI は病変を明瞭に描出することができる画像検査であり、病院でうける機 会が増えている。その一方、MRI は院内でも高磁場である特殊な環境で検査 が行われる。本稿ではMRI 装置の概要と、人体への影響について説明を行い、 安全な運用のための対策について述べる。

金属材料の腐食と防食対策(その2)
-鉄の腐食形態とその対策法-

国立研究開発法人 物質・材料研究機構
篠原 正

 実環境では腐食の局所化などによって大きな侵食度が検出され、金属部品の 破損につながることも多い。鉄に生じる種々の腐食形態について、その特徴 と対処法について解説した。鉄は、酸化性の強アルカリ性環境で不動態化す るという特徴を持ち、酸素濃淡電池腐食では溶存酸素還元反応に伴うpH 上 昇、マクロセル腐食ではコンクリートの高pH によってその部分の鉄が不動態 化し、その箇所がカソードとなり、それ以外の箇所がアノードになることで、ア ノード/カソード分離が達成される。しかし、実際の腐食挙動を考察する上では、 単に小型試験片を設置するだけでは判断を誤りやすい。環境変化や電気的導 通などを含めた考察が必要である。

爆発物テロ対策

公益財団法人総合安全工学研究所 事業部長
中村 順

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 米国の9.11 同時多発テロ以降も、多数の人間を殺傷するテロが世界各地で 発生している。テロ組織の世界中への蔓延や、インターネットを通じてテロを 行うための情報が流れたりして、その根絶は難しい。なかでも、爆発物使用 はテロの主要な手段として実行されてきている。爆発物テロの現状とその対策 について解説する。

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第42巻(2) 179号 / 平成27(2015)年6月1日発行

巻頭言
  高齢化社会における安全と衛生

   独立行政法人労働安全衛生総合研究所 理事長
             小川 康恭

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OSHA 化学プロセス安全活動について

 横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター
客員教授 半井 豊明

 米国労働安全衛生庁(OSHA)の「プロセス安全管理規定」(PSM 規定)を 中心に、プロセス安全活動を紹介した。 2005 年のBP 社の製油所事故が契機になり、2007 年~2011 年、「製油所の国家重点プログラム」が実施され、 2009 年から「化学工場の国家重点プログラム」が始まった。2013 年の West Fertilizer 社の肥料倉庫の爆発事故でオバマ大統領令が発令され、6 省 庁が連携して化学施設の安全と警備対策の向上を図るべく、大統領令委員会 (EO 委員会)が設立され報告書が提出された。

プロセス安全のポイント
 -エンジニアの役割-

   元化学会社安全技術者
臼井 修

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 最近化学プラントなどの反応に関係する事故が連続して発生している。このよ うな事故防止を図るのは、現場技術者(エンジニア)の役割であり、その重 要性の自覚を促すとともに、現場技術者がプロセス安全を実践するための各 段階(「危険性情報収集」「事故の想定」「リスクに見合った安全対策」「検証」 「まとめと伝承」「見直し」)のポイントについて、過去の事例から得られた教 訓などを含め私見を述べたい。

硫酸プラントの安全

元三菱マテリアル株式会社 直島製錬所 硫酸課長
小嶋 令史

 非鉄金属製錬各社では、多く硫化鉱を原料とするため、硫黄分を硫酸として 回収することによって環境汚染防止を図っている。設備の大型化が進む一方、 厳しい環境規制に対応しながら、公害防止と安全確保の実を如何に挙げるか という観点から、2、3 の事例を示し、筆者の経験を披歴すると共に、考え方 の一端を述べる。

金属材料の腐食と防食対策(その1)
-腐食科学の基礎-

国立研究開発法人 物質・材料研究機構
篠原 正

 電気化学を中心に、金属の腐食に関する基本的な考え方について解説した。 代表的な環境の指標は電位(酸化力)とpH であり、これらによる状態図(電 位?pH 図)によって、種々の金属の耐食域/腐食域を知ることができる。また、 分極曲線によって腐食速度の検討が行え、例えば鉄が溶存酸素還元によって 均一に腐食する場合には、その侵食度は0.1 mm/y 程度であり、これに対し ては腐食代(腐食しろ)で対応可能である。

タブレット端末を用いた建設作業者向けの安全教材の開発

独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
人間工学・リスク管理研究グループ
高橋 明子

 低層住宅建築現場では現場の作業人数が少なく、作業者が危険予知活動を 実施しづらい。また、現場が広い範囲に点在することから、管理者もその実 施状況を把握しづらい。そこで、作業者が一人で実施でき、実施状況が管理 可能なタブレット端末を用いた建設作業者向けの安全教材を作成した。この 教材は、建設業だけでなく、他業種にも応用が可能だと考えられるため、安 全教材の仕組みや教育訓練効果、利点について紹介する。

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第42巻(1) 178号 / 平成27(2015)年3月1日発行

巻頭言
  特集号「交通インフラの維持管理」

   セイフティ エンジニアリング編集委員長
             福富 洋志

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鉄道軌道のメンテナンス

 公益財団法人鉄道総合技術研究所
 軌道技術研究部 部長
古川 敦

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 鉄道軌道で広く用いられているバラスト軌道は、 列車の繰り返し走行によってバラスト層が少しずつ形を変えていく。 これを放置すると列車の乗り心地が悪くなり、走行安全性にも影響することから、 鉄道事業者では定期的にこれを検査し、評価し補修するというサイクルを繰り返している。 本稿では、このような一連の軌道のメンテナンスの流れについて解説する。

橋梁の安全点検

 横浜国立大学 大学院都市イノベーション研究院 准教授
西尾 真由子

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 社会インフラの維持管理への意識が高まるなか、 平成26 年6 月に国土交通省より 橋梁定期点検要領および道路橋定期点検要領が示され、 全国約70 万の道路橋に対し、近接目視で5 年に1 度の定期点検を行うことが義務付けられた。 本稿は、これらの要領を解説しながら点検の現状を紹介しその課題を考察する。 点検技術者の資格化やセンシング技術の活用といった、 効率的で効果的な点検体制に向けた動きにも触れる。

トンネルの老朽化・維持管理

東京都立大学名誉教授
今田 徹

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 わが国の社会基盤はその多くが戦後に整備されたものである。 そのため建設から数十年を経過し、老朽化が問題になる社会基盤施設が増えている。 トンネルも同様であるが、トンネルは単なる老朽化のみでなく、 むしろ主要な構造体である地盤の影響を強く受けることが問題である。 地盤の特性の把握は難しく、 トンネルの挙動に与える条件を十分に把握できないまま造られる場合もある。 従って、トンネルの挙動を的確に把握し適切な維持管理をすることが重要である。

バードストライクを減らす空港会社の試み

成田国際空港株式会社 空港運用部門
総合安全推進部 部長
國枝 一武

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 バードストライクとは滑走路の上空を飛来する鳥が、 離陸、着陸する航空機本体に体当たり、またはエンジン部に吸い込まれる等の事象をいう。 その結果、本体、エンジン周りの部品が破損し、安全運航に重大な脅威となるだけでなく、 点検、修理により機材繰りが必要となり、定時運航への影響も大きい。 威嚇手段である煙火、空包および実包などを実施しているが、今回、 小鳥の天敵である猛禽類の脅威がどの程度、有効かを試みた。 その貢献度がある程度評価されるものの、鳥の出現数が天候に左右されることもあるので、 引き続き、来夏も継続し鷹匠によるコントロールと航空機の安全確保の見極めなど 今後の課題として、更に効果的な鷹追いの手法を検討していきたい。

鉄筋コンクリート製灯標の劣化診断技術

独立行政法人海上技術安全研究所 構造基盤技術系
保守管理技術研究グループ グループ長
丹羽 敏男

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 笹子トンネルの天井板の崩落事故を受け、現在、 適切かつ効率的な交通インフラの維持管理・更新のあり方について見直しが図られている。 その一環として、海上に設置されているRC 製灯標(航路標識)を対象に、 腐食劣化の進捗度合いに応じた点検・保守管理手法の最適化を図る 腐食劣化診断モニタリング技術の確立ならびに劣化診断マニュアルの作成を目的に実施した 研究成果を紹介する。

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第41巻(4) 177号 / 平成26(2014)年12月1日発行

巻頭言
  安全確保を目指して

 

   住友化学株式会社 執行役員
             丸山 修

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みんなで支える航空保安

 全日本空輸株式会社 空港オペレーション推進部
 空港業務推進チーム 主席
林 高正

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 「みんなで支える航空保安」は、ANA グループ社員への保安教育資料の標題 である。空港での保安検査には、チェックインカウンター前に、受託手荷物 検査用のX 線検査装置が設置され、ハイジャック防止検査場の様々な検査 機器も更新されてきているが、ANA 社員をはじめ各航空関係者の意識(憂い) が高くなければ、いくら検査機器(備え)が更新され増強されても、航空保安 の強化にはつながらない。航空会社として社員の保安意識を常に高いレベル で維持すべく、保安文化の醸成をいかに行うか苦労しているところであるが、 その一端を紹介した。

ノンテクニカルスキルの向上をめざした教育

 AGC 旭硝子株式会社 千葉工場 環境安全部 主席
南川 忠男

 運転員の行動特性や組織内のコミュニケーション不全がプロセス事故の一原 因にもなっており、声かけの大切さ、適正な権威勾配、言い出す勇気などノン テクニカルスキルの重要性に深く気付く教育が求められていた。従来型の技能 や知識教育ではノンテクニカルスキルのトラブルを改善することをカバーしてお らず、これを克服するため仮想演習を取り入れた新しい教育プログラムを開発 して実施している。

石油化学工業協会における産業保安の向上

石油化学工業協会 技術部 部長
岩間 啓一

 石化協会員企業にて2011年から2012年に3件の大規模な爆発火災事故 が発生し、それぞれ1 名が亡くなった。これらの事故は、いずれも、本来、制 御していなければならない暴走反応が起きた結果、機器が破裂し、内容物に 引火爆発したものである。石化協では、課題を明らかにし、対策の具体的な 取り進めとして安全文化の強化に取り組んでいる。また、これらの活動を産 業安全に関する行動計画として2013年7月に公表し、2014年6月に実績等に基づく見直し版を公表した。

建設業の安全衛生活動の取り組み

清水建設株式会社 土木東京支店 安全環境部 部長
今井 克美

 労働の現場にて労働者が被災する災害は典型的な人災であるが、全ての災害 は原則的には未然に防止できるものであり、その防止のための措置、活動を 行うことが安全衛生管理の目的である。本稿では、平成26 年度の清水建設 株式会社土木東京支店の安全衛生活動の取り組みについて報告する。

短期間の屋根作業における高所からの墜落対策

独立行政法人労働安全衛生総合研究所
建設安全研究グループ 上席研究員
日野 泰道

 東日本大震災を契機に短期間に行われる工事の安全対策に注目が集まってい る。建設業における労働災害の多くは高所からの墜落に起因しており、また 新築工事というよりはむしろ改修・解体工事で数多く発生している。本稿は足 場等を用いた従来型の墜落防止対策を講ずることが困難な建設現場で適用可 能な屋根からの墜落防止対策として、屋根上での作業を始める前に墜落対策 の要となる最初の一本目の垂直親綱である「主綱」を安全に設置する工法等 について紹介する。

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第41巻(3) 176号 / 平成26(2014)年9月1日発行

巻頭言
  伝統産業煙火の安全確保

 

   有限会社片貝煙火工業 代表取締役
             本田 正憲

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水素安全への最近の取り組み

 東邦大学 理学部 生命圏環境科学科 教授
佐藤 研二

 家庭用燃料電池の普及、間近にせまった燃料電池自動車の一般ユーザーへの本 格的な普及など、生活空間での水素の利用が身近なものになりつつある。本稿で は、このような状況に対応して行われてきた水素安全に関する最近の取り組みから、 水素燃料自動車関連の取り組みを中心にその一端を紹介する。

巨大地震に対する危険物施設の防災対策
東北地方太平洋沖地震での被害を踏まえて

 横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター
客員教授
座間 信作

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 2011 年東北地方太平洋沖地震とそれによる地震動、津波による危険物施設被 害を概観するとともに、この地震を踏まえて見直された南海トラフ沿いの巨大地震で 想定されている地震動などに対する危険物施設の防災のありようについて述べる。

建物の免震技術

大成建設株式会社 技術センター 技師長
藤井 俊二

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 地震の多発するわが国で建物の地震対策は不可欠な技術である。地震対策技術 は耐震、制震、免震に大別することができる。このうち免震技術は1980 年代に実 用化され、阪神淡路大震災を契機に普及が進み、2011 年東日本大震災では多く の建物で免震効果が実証された。病院や庁舎などの災害復旧拠点となる建物や、 事業継続(BCP)の観点から産業施設への普及が進んでいる。本稿では免震技術 について、原理、普及状況、効果の実証例などについて紹介する。

組織診断インタビューにみられる
安全文化の現状と課題

組織安全研究所 所長
大久保 元

 安全管理や組織運営の状態を健全なレベルで維持するためには、一人ひとりの従 業員が日々どんな思いで業務に従事しているかを知る必要がある。こうした要求に応 える場合の進め方として、インタビューを通じて組織を診断し、現状の改善へとつなげ る手法を紹介する。あわせて、装置産業で実施した組織診断インタビューの結果か ら、多くの組織が抱える問題の典型的な傾向を読み取り、安全文化や組織マネジメ ントの視点を踏まえて共通する課題を例示する。

航空管制業務におけるヒューマンエラー対策

国土交通省 福岡航空交通管制部 次席航空管制官
池尻 辰也

 世界的に航空交通量が増加する中で、航空機のより安全な運航を確保するために は、航空機や管制システムといったハード面の技術的な進歩だけなく、ヒューマンエ ラーの抑止についても更に一層の強化を図ることが重要である。航空管制業務にお いてエラーを発生させる可能性がある背景要因やエラーを適切にマネジメントし、事 故やインシデントの発生を防ぐというTEM の概念と管制業務における訓練につい て紹介する。

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第41巻(2) 175号/平成26(2014)年6月1日発行

巻頭言
  重大事故防止への安全のアプローチ

 

   有限会社システム安全研究所 所長
             高木 伸夫

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NSSC 10年間の安全衛生活動

 新日鐵住金ステンレス株式会社
製造管理部 環境安全室長(部長)
庄田 俊二

 経営トップの強いリーダーシップの下で、全社の直営・協力会社の連携を図りつつ、 管理監督者が率先垂範して従業員の安全意識の向上に向けて粘り強く取組んで きた。また安全衛生教育を充実すべく組織立てて教育内容の充実を図ると共に、親 会社の強力な支援を受けながら活動を充実させてきた。2010 年に光製造所で発生 した転落による休業災害以降全社が一丸となり、「対話重視の活動」を継続してき た結果、以降は”休業災害ゼロを継続中である。

ダムの老朽化とその対策

 一般財団法人電力中央研究所 上席研究員
 西内 達雄
 中国電力株式会社 流通事業本部 専任部長
  吉岡 一郎

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 近年、既設ダムの長寿命化が重要な課題の一つとなっている。 多くのダムは山間部に築造され、長期間、厳しい自然環境に曝されている。 ダムを今後も供用していくためには、経年に伴う劣化や老朽化に対して適切な方法で診断し、 将来の予測と安全性の確認、必要に応じた処置を実施する必要がある。ここでは、人工材料のコン クリートで築造されたダムを対象として、老朽化の原因と実態、それらの予防やダム 耐震安全性の向上策について、具体的な事例を含めて概説する。

生活支援ロボットの安全性検証研究と安全基準

(独)労働安全衛生総合研究所 機械システム安全研究グループ 上席研究員
池田 博康
(独)労働安全衛生総合研究所 機械システム安全研究グループ 研究員
岡部 康平

 人の生活を支援することを目的とするロボットが開発されつつあるが、その普及のた めには対人安全確保の検討が不可欠である。そこで「生活支援ロボット実用化プロ ジェクト」(NEDO)が、生活支援ロボットの安全性検証手法を確立して安全性基準 の提案を行う目的で5 年間実施された。このプロジェクトの実施概要として、主な安 全性検証手法の実施内容とそれらの成果を反映したパーソナルケアロボットの国際 安全規格、さらに構築したデータベースについて概説する。

飲料水の水質基準
-WHO、北米およびわが国の微生物基準とその考え方-

東京都健康安全研究センター 薬事環境科学部 環境衛生研究科長
保坂 三継

 飲料水が安全であるか否かを判断するモノサシが飲料水の水質基準である。昔も今 も飲料水による集団感染は大きな脅威であり、それを防ぐ仕組みが病原微生物にか かる水質基準である。こうした観点から、国際的な標準としてのWHOの飲料水水質 ガイドラインと、先進国における例として米国環境保護庁の連邦第1 種飲料水規 則、そしてわが国の厚生労働省令による水質基準の微生物関係項目について、そ れらの基準値やその特徴などを考察した。

花火大会の安全実施

公益社団法人日本煙火協会 専務理事
河野 晴行

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 花火大会の舞台裏は、表舞台の華やかさと違い、実行計画から地味な仕事の積み 重ねの上に成り立っている。また、最盛期が夏期シーズンとなるため、花火の準備作 業などの人員確保や安全管理など、常時作業員を雇用していない花火業者にとっ て臨時の作業員の存在は大きい。 花火大会を安全に実施するため舞台裏の安全管理などを、筆者の現場経験を踏ま え記載する。

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第41巻(1) 174号/平成26(2014)年3月1日発行 特集号「地域の防災」

巻頭言
  安全対策の確実性

 

   消防庁消防研究センター 所長
             渡邉 洋己

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ライフラインシステム停止の影響と対策の方向性
-エネルギーおよび水を中心として-

 横浜国立大学大学院 都市イノベーション研究院 教授
佐土原 聡

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 都市化の進展で都市のライフラインへの依存度が高まっている。 一方、地球環境問題の深刻化、地震活動の活発化で、ライフライン停止機会も増大する。 本稿はエネルギー、水を中心としてライフラインシステムが停止した場合の深刻な影響と対策の 方向性について論じた。特に平常時の地球環境問題と非常時の災害の両面から の総合的な対策が重要であり、水源地域の健全な森づくりを含めた水供給の基 盤、および自立分散型のエネルギーシステムをとりあげ、それを具体的に紹介した。

ハザードマップ

 横浜国立大学大学院 都市イノベーション研究院
特別研究教員
稲垣 景子

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 ハザードマップとは、災害による被害を軽減するため、災害の原因となる現象の影響 が及ぶと推定される領域と、災害を引き起こすインパクトの大きさなどを事前に予測 し、これらを地図にまとめたもので、避難行動を促すきっかけや、長期的なまちづくり の資料として広く活用されることが期待されている。本稿では、ハザードマップ作成の 歴史的経緯と現状、課題について述べるとともに、いくつかの具体的な事例を紹介 する。

地域の交通事故防止

警察庁科学警察研究所 交通科学第一研究室 室長
森 健二

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 散歩や買い物といった地域住民の日常生活に密接に関係している道路における交 通事故防止対策について紹介する。こうした道路は、歩行者と自動車が混在するこ とが前提となっている。そのため、あえて自動車に速度抑制を余儀なくさせるような手 法が用いられる。その考え方は、自動車の走りやすさを追求した幹線道路の安全対 策とは全く異なるものである。

既存家屋の耐震・防火同時補強による
木造密集地区の地震災害対策

早稲田大学 建築学科 教授
長谷見 雄二

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 大都市の木造密集地区では、大地震時に市街地火災が発生し被害を拡大するこ とが懸念されているが、建て替えによる既往の防災対策が限界に達している地区も 多い。建て替えによらずに市街地の防災性能を改良する手法として、既存木造家屋 の壁の補強により、耐震性と地震後の防火性能を同時に高度化する技術を提示 し、その都市防災上の効果と政策化の指針を検討するとともに、木造家屋の集会 所への改修に適用した事例を紹介する。

水島コンビナートの防災

岡山県 危機管理監
角田 保彦

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 岡山県では、県コンビナート地域の特定事業所を対象に、東日本大震災や南海トラ フの巨大地震の想定を受けて石油コンビナート防災アセスメントを実施し、そのアセ スメント結果を受けて、石油コンビナート等防災計画(水島臨海地区)の災害想定 や防災対策の修正を行った。アセスメントおよび防災計画の修正の概要を通して、 水島コンビナートの防災対策やあり方について考察する。

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第40巻(4) 173号/平成25(2013)年12月1日発行 

巻頭言
  公益財団法人総合安全工学研究所の役割

 

   東京大学名誉教授
公益財団法人総合安全工学研究所理事長              田村 昌三

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首都高速道路の維持管理と安全、安心を確保するための取り組み

 首都高速道路株式会社 神奈川管理局保全部長
谷 雅史

 首都高速道路は昭和37年の最初の供用から50 年を迎え、高齢化する道路施 設の維持管理が重要な課題となっている。また、昨年のトンネル天井板落下事 故を受け、より一層安全の確保が重要となり、さらにインフラの更新時代とい うような話題もマスコミに多く取り上げられている。そのような状況における首 都高速道路の維持管理と、今後の大規模更新などの実施に向けた取り組みを 紹介する。

ロールボックスパレット使用時に発生した
比較的軽微な労働災害とその対策

 独立行政法人労働安全衛生総合研究所
人間工学・リスク管理研究グループ 研究員
大西 明宏

 ロールボックスパレット(RBP)と呼ばれる荷役機器に起因する休業4日未満 の労働災害事例を分析したところ、手部や足部の激突・はさまれ、足部のキャ スター踏まれ、頭部・顔面部・歯への激突が代表的な災害パターンであること がわかった。これら災害の防止にはRBP 作業のマニュアル化、マニュアルを活 用した安全教育の徹底が求められる。また、手や足部を保護するプロテクター やつま先部を保護する作業靴を使用することで、負傷リスクの低減に努めるこ とも重要である。

火災検知におけるCO センサの有効性について

新コスモス電機株式会社 取締役専務執行役員
ガス警報器工業会 理事
松原 義幸

 住宅用火災警報器の設置義務化とその普及に伴い住宅火災における死者数は 減少したものの、依然年間1, 000人を超える犠牲者がある。その死因の多くが 一酸化炭素中毒(CO)である。本稿では、このような状況を鑑み、住宅におけ るCOセンサの普及例と、弊社にて実施した火災再現実験におけるCO 発生の 状況や特徴から火災におけるCO の脅威の一端を紹介し、住宅用火災・CO 警 報器などで搭載されているCOセンサが住宅火災における火災早期検知に有 効であることを述べる。

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医療用ロボットの安全(標準化に関する一考察)

東京大学大学院工学系研究科 教授
佐久間 一郎

 医療用ロボットは直接患者あるいは医療従事者に接触/ 近接して使用されるた め、安全のために新たな機能が要求される。そのためには、人と機械系の相互干 渉領域の大きさの最小化、適切な緊急停止手法の実現などが求められる。リスク アセスメントでは医療用ロボットが行う医療行為と医療情報取得の自立性の観 点から機能を議論することが有効である。自立性を規定するソフトウェアの安全 は重要な論点であり、関連する国際的な標準化動向にも注意を払う必要がある。

バイオテロに使用されるおそれのある病原体と生物毒素

警察庁科学警察研究所 法科学第一部生物第五研究室 室長
水野 なつ子
警察庁科学警察研究所 法科学第三部化学第五研究室 室長
大森 毅

 これまでに炭疽菌芽胞やリシンが入った郵便物を送りつけるなどの事件が発生 し、さらにこれらを模倣した事件が相次いでいる。このようないわゆるバイオテ ロには極めて危険性の高い病原体や生物由来の毒素などが用いられる。本稿 では病原体として炭疽菌を、微生物由来毒素としてボツリヌス毒素を、植物由 来毒素としてリシンを、プランクトン由来毒素としてサキシトキシンを取り上げ て解説する。

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第40巻(3) 172号/平成25(2013)年9月1日発行 

巻頭言
  社会機能維持者としてのリスクマネージメント

 

   太陽石油株式会社代表取締役社長
             岡 豊

新幹線の巨大地震に対する備え

 明星大学理工学部総合理工学科機械工学系 教授
 元 公益財団法人鉄道総合技術研究所
石田 弘明

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 鉄道は開業以来、自然災害を防ぐために防災技術の開発と導入を進めてきた。 しかし近年は、災害を防ぐ防災から災害を減らす減災へと考え方を見直し、効 果的に対策を講じながら巨大地震に備えている。本稿では、設備対策、地震検 知・警報システム、走行安全性の確保という三つ観点から進められている新幹 線の地震対策、東北地方太平洋沖地震での新たな経験、さらなる安全・安定輸 送を目指した研究開発の事例について紹介する。

リスクベースメンテナンスの意義と導入にあたっての課題

 東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻 教授
酒井 信介

 本稿では、社会インフラストラクチャーに対する信頼性の構築に関して、メンテ ナンスの観点から、近年の動向、基本的考え方を紹介する。社会インフラストラ クチャーは、経年化の進行とともにメンテナンスの比重が高まる。一方で、経済 動向の不況が長引けば、産業界としてはあらゆる経費の削減が求められること になる。このような状況のもとで、重要となる、維持基準やリスクベースメンテ ナンスの基本的考え方、課題について概説する。

セルオートマトンによる避難行動シミュレータの開発

株式会社アルモ設計 建築設計部 次長
篠崎 喜彦
横浜国立大学大学院環境情報研究院 教授
森下 信

 建築技術の進歩に呼応して建築形態の巨大化・多様化が加速しているが、そ れに伴い建物の避難安全評価の要求が増加している。特に東日本大震災以降 では、火災時の避難安全性能評価だけでなく、現実的な避難状況予測に対し て社会的要求が高まってきており、避難行動のモデル化によるコンピュータシ ミュレーション研究が再び注目を集めている。このような要求に対応するため の実用的な避難行動シミュレータ開発の取組みを紹介する。

人体各部の寸法・動作速度に基づいた
安全防護物の設置位置の基準

独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
機械システム安全研究グループ 上席研究員
齋藤 剛

 機械のリスク低減のために様々な安全装置が利用されているが、これらが有効な リスク低減方策となり得るには、人の接近を検出してから機械が停止するまでに 人が危険区域に到達できないことが条件となる。このための各種装置の適切な 設置位置を定めた規格がISO 13855であり、実際の使用を通じて2010 年に第 2 版に改正され、国内での一致規格JIS B 9715は今年5月に改姓された。本稿 では第2 版での変更点を中心に各種装置の設置位置の定め方を概説する。

陽電子消滅による材料安全性評価

京都大学大学院工学研究科 教授
白井 泰治

 プラスの電荷を持つ電子である陽電子(ポジトロン)を、材料劣化の非破壊検 査に活用する技術を紹介する。社会基盤や輸送機器を構成する鉄鋼材料や ジュラルミンなどの金属材料の経年劣化を、事故に至る前に非破壊で検出し、 余寿命を診断することにとって、安全・安心な社会の構築に少しでもお役に立 てることを目指している。

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第40巻(2) 171号/平成25(2013)年6月1日発行 

巻頭言
  ガス事故防止に向けた取り組み

 

  新コスモス電機株式会社代表取締役社長
             重盛 徹志

どこまで安全を求めるか

 東京農工大学 工学府産業技術専攻 教授
中村 昌允

 全てのリスクに対応することは困難である。日本社会の安全認識は「リスクゼ ロ」であるが、「グル―バルスタンダード」は受け入れ不可能なリスクのないこと である。日本の法規制は、リスクアセスメント指針にみられるように、ALARP の概念を取り入れており、日本の安全管理は『絶対安全』から脱却して、重大事 故を防止する『リスクベースの安全管理』に移行していく必要がある。 福島原発事故から、重大で不可逆な事故は、譬え、発生確率が低くとも起こし てはならないという観点もこれからの安全管理に必要である。

なぜ、そしてどのような公共投資が必要なのか

慶應義塾大学 経済学部 教授
井手 英策

 日本財政、最大の特徴は減税と公共投資を組み合わせた土建国家的統治シス テムにあった。この手法には、中間層を宥和しつつ、所得階層間、地域間再分配 を可能にし、さらにはローカル・コミュニティも保守するという社会経済的な合 理性があった。現在、これに代わる統治メカニズムが見出されないままに、土建 国家への逆流が生じ始めている。そうした大きな流れのなかで、これからの公 共投資はどのように位置づけていくべきなのか考えてみたい。

ゼロエミッションと持続可能社会

横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授
藤江 幸一

 限られた資源を有効活用するためには、廃棄物や未利用物質の排出に対して、 その発生源すなわち生産プロセスやライフスタイルにまで遡り、廃棄物のリサ イクルや未利用資源の有効利用、ライフスタイルの見直しなどを通して、資 源・エネルギーの有効活用と環境負荷低減をあわせて実現する必要がある。人 間活動に必要な機能を過不足なく提供できる持続可能社会の実現に向けて、 日本が取り組むべき対策について紹介する。

社会基盤を支えるコンクリート構造物の安全性と耐久性

横浜国立大学大学院 都市イノベーション研究院 准教授
細田 暁

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 わが国の社会基盤を支えるコンクリート構造物の重要性、世界一の地震国にお いて国民の安全を守るための構造物に期待される性能と、これまでの耐震性能 の変遷について概説する。コンクリート構造物に期待される供用年数は非常に 長く、融雪剤の影響を含む過酷な環境で耐久的な構造物を建設することの難し さと、それを達成するための具体的なビジョンについて述べる。現在、東北の復 興道路の建設において品質確保プロジェクトが動き始めている。

消防法令の改正の契機となった地震災害事例

危険物保安技術協会 事故防止調査研修センター長
伊藤 英男

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 地震における危険物施設の被害は強震動によるタンク本体や配管の損傷、ス ロッシングによる浮屋根などの損傷及び漏洩、液状化によるタンクの沈下が主 な起因となり、タンク本体と配管の接合部付近の損傷による大量漏洩、また、 津波による被害も多く、地震を契機として法令改正となった主な災害について 紹介する。

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第40巻(1) 170号/平成25(2013)年3月1日発行 特集号 「災害と対策」

巻頭言
  特集号発行によせて

  横浜国立大学大学院 工学研究院 教授
セイフティ エンジニアリング編集委員長
             福富 洋志

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3.11津波の被害分析と今後の津波防災

 早稲田大学理工学術院 教授
横浜国立大学名誉教授
柴山 知也

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 東北地方太平洋沖地震津波では、あらかじめ津波が予測されていたにもかかわ らず、それをはるかに上回る規模の津波が来襲し、「想定外」の事態により多く の被害者が生れた。その後、全国規模で津波ハザードマップの再検討を行い、 県レベルでの津波被害想定を見直す作業が行われた。これまで生起する確率 が低いと考えられて防災計画に含まれていなかった津波にも焦点を当て、歴史 津波の検討とともに数値予測の波源モデルを修正して、予想津波高をより高く 設定しなおす必要があった。

リスクが極めて高いシステムに対する安全設計思想について
-原子力発電に対する一考察-

明治大学理工学部 情報科学科 教授
向殿 政男

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 事故に学んでシステムの安全性を高めていく再発防止策は、これまで多くの安 全分野で実効性のある手法として実施されているが、リスクが極めて高いシステ ムでは、事故に学ぶには、今回の福島原子力発電の事故に見るように、余りに も悲惨すぎる。事故の未然防止のためには、設計の段階から安全設計の根本 に戻り、安全の原則に基づいて論理的に、構造的に安全を築き上げていくしか 方法はない。 本稿では、事故の頻度は極めて小さいが、リスクが極めて高いシステムに対する 安全設計の考え方について述べる。

直下型地震と化学プラント

東京大学 環境安全研究センター 教授
安全工学会 地震被害調査委員会 委員長
新井 充

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 2011年3月11日の東日本大震災のちょうど1ヵ月後、福島県いわき市は、その 余震と考えられる震度6強の地震に再び襲われた。その地にあった化学プラン トが経験した地震加速度は、500ガルを超える直下型地震であった。安全工学 会では、世界でもほとんど例がないと思われる直下型地震に襲われた化学プラ ントの事例につき、当該プラントの協力を得て被害状況および対応などの調査 を行ったのでここに報告する。

医療施設が地震に襲われたときの評価実験

独立行政法人防災科学技術研究所
兵庫耐震工学研究センター 主任研究員
佐藤 栄児

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 地震においてどのような被害が発生し、それらを防ぎ機能させ続けるために、医 療施設はどうすべきかを検証するため実大三次元震動破壊実験施設(E-ディ フェンス)を用い、実大の医療施設を模擬した試験体に地震動を与えて評価実験 を行ってきた。免震構造、耐震構造の医療施設に直下型の地震動や長周期地震 動を与え、地震被害予測や病院機能保持のための対策手法を検証評価した。そ れらの実験内容および結果を紹介する。

地震被害を受けた建築物の復旧工事における注意点

独立行政法人労働安全衛生総合研究所
建設安全研究グループ 上席研究員
高梨 成次

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 日本は地震多発国であり、東海地震や首都圏直下型地震の発生が危惧されて いる。これらにより、相当数の建物が被害を受け、補修工事などが必要になる。 そのため労働者は、被害を受けた建物に近接する必要がある。しかし、被害を 受け不安定になった建物が、大きな余震を受けると倒壊する危険性が高くな る。本稿では、地震によって被害を受けた建物の倒壊危険性を損傷状況から推 定する方法と震災後の混乱時においても実行可能な簡易な倒壊防止対策の効 果について記すこととする。


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169号/平成24(2012)年12月1日発行

巻頭言
  安全と企業の社会的責任

  株式会社日陸 代表取締役社長
             能登 洋一

災害における危機管理
-東日本大震災から安全を考える-

 株式会社三菱総合研究所 リサーチフェロー
横浜国立大学 客員教授
野口 和彦

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 安全な社会を構築するためには、東日本大震災がわれわれに示したものをしっ かりと受け止め、未然防止とともに危機管理力を高めていくことが重要である。 危機管理は、どのような危機が発生するかを考え、準備することから始まる。危 機時には情報が不足し状況が把握できず、用意していた対応策も機能しないこ ともある。その中で優先順位の高い事象から、確実に対応していくことが必要 である。

サイバーセキュリティ

プロックスシステムデザイン株式会社
執行役員
川口 賢

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 日本企業や政府機関などへの大規模なサイバー攻撃が激しくなり、攻撃手法の 高度化が進んでいるだけでなく、個人情報や金銭等の不正取得を目的とした 個人向けの攻撃も増加している。インターネットを利用するすべての人はサイ バー攻撃を受ける可能性があるにもかかわらず、日本人のインターネットセキュ リティに関する意識は低い。より安全にインターネットを利用するために、リス クを明確化し対策の必要性を知り、適確な対策の実践が必要である。その一 部について紹介する。

保安機器の開発について

東京ガス・エンジニアリング株式会社
企画部 事業化推進グループ
安部 健

 ガス会社の研究者としてセンサ開発に従事した経験を元に、現在までガス事業 以外を含む様々な分野の保安関連の機器開発に携わってきた。それらの技術 開発の中から、航空保安向け液体物検査装置(キーワード:ユーザー視点の技 術開発、以下同様)、ガス配管の漏洩試験器(解決すべき問題の抽出)、下水道 処理施設における可燃性ガス検知装置(柳に風)について概説する。

事故分析手法PFA の概要

(独)産業技術総合研究所 安全科学研究部門
爆発利用・産業保安研究グループ
研究グループ長
和田 有司

 (独)産業技術総合研究所の「リレーショナル化学災害データベース(RISCAD)」 において、事故を時系列で整理して分析した「事故進展フロー図」を作成する 手法として発展してきた「事故分析手法PFA」の概要と効用を実施手順を含め て解説した。「事故分析手法PFA」は、グループによる議論まで行うことによっ て、グループ内で経験や知識を共有でき、組織全体の安全意識の向上に役立 てることができる。

静電気による災害事例と対策

(独)労働安全衛生総合研究所
電気安全研究グループ
上席研究員
山隈 瑞樹

 静電気に起因する爆発・火災事例から、教訓的なもの4件についてその発生機 構および対策について解説する。取り上げた事例は、スプレー缶による噴射剤 の爆発、石油タンク清掃時の火災、バグフィルタ式集じん機における粉じん爆 発、およびフレキシブルコンテナ使用時の粉じん爆発である。いずれも最近の 労働現場の実情を反映したものであり、同種災害の再発防止に役立つ内容と なっている。


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168号/平成24(2012)年9月1日発行

巻頭言
  本質安全の追及

  横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授
             三宅 淳巳

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自律的な産業安全を考える

 経済産業省原子力安全・保安院
産業保安研究官
武富 義和

 日本の規制は既に自主保安体制に移行したが、期待とは裏腹に大事故も発生し、最近では高経年化、現場力の低下に伴う事故も増加傾向を示している。筆者は、この現状を打破するためには規制という受け身での対応では不十分であり、学協会等民間による自律的な取り組みが重要であると認識している。その観点から、一例として、これを具現化しようとしている安全工学会提唱の保安力評価システムについてその概要を紹介している。

安全管理のためのヒューマンファクターズ

早稲田大学理工学術院 創造理工学部
経営システム工学科 人間生活工学研究室 教授
小松原 明哲

 大規模化する社会技術システムが安定、安全に機能し続けるためには、ヒュー マンエラーを起こさせない従来型のヒューマンファクターズに加え、安定を 損ねる脅威に対抗し、「現場力」でもって安全を確保するヒューマンファク ターズのアプローチが求められる。これがレジリエンス・エンジニアリング である。組織はこの二つのヒューマンファクターズのアプローチを適切に組 み合わせ、安全を確固たるものにしていくことが求められている。

航空保安

財団法人空港保安事業センター
教育事業部教育課 課長
金澤 三津恵

 世界的に国際テロ対策が強化されてきており、航空機や空港での関連施設などへのテロ対 策が国際民間航空条約(シカゴ条約)に基づき重点的に進められてきている。わが国でも手荷物や 航空貨物に対する保安強化、空港警備の徹底など実施されている。 それらは、テロの現状に応じて対策が取られてきており、新たな脅威に対する ものや、保安システムの脆弱な部分を補完するために既存技術の改良や、 新たな検査システムの導入など検討を進めて、保安体制をさらに強化し てきている。こうした保安=セキュリティについて背景や、国際的な取り組み、今後の 課題について紹介する。

テロ・犯罪対策、災害対策など
安全・安心な社会の構築に関する科学技術政策

文部科学省科学技術・学術政策局
科学技術・学術戦略官付(調整・システム改革担当)

 第4期科学技術基本計画では、国として取り組むべき重要課題の一つとして、 「安全かつ豊かで質の高い国民生活の実現」を掲げ、これを踏まえ文部科学省 では、安全・安心科学技術について、テロ・犯罪対策技術に係る研究開発とと もに、平成24年度からは東日本大震災で顕在化した都市・地域の脆弱性を克 服するため、安全・安心な都市・地域の構築に係る研究開発を開始することと しており、本稿ではこれらの取組を紹介する。

情報・物理セキュリティ技術とその評価

 横浜国立大学大学院 環境情報研究院 教授
松本 勉

 情報に係るシステムやサービスにおいてその重要性が各所で叫ばれているセ キュリティにつき概観する。各種の情報・物理セキュリティ技術の要点を紹 介するとともに、その評価が大切であるが、暗号など、セキュリティの数学的 証明ができるといった先進的な評価技術があるものもあれば、古典的なもの もある。古典的ではあるが注目を浴びた方法としてバイオメトリクスのセ キュリティ評価技術を例示する。イタチごっこの断ち切りを目指したセキュ リティの研究に興味はつきない。

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167号/平成24(2012)年6月1日発行

巻頭言
  災害と身元確認

  科学警察研究所 所長
             福島 弘文

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メガフロート(超大型浮体構造物)の安全性

 東京大学大学院 新領域創成科学研究科
   海洋技術環境学専攻
              鈴木 英之

 メガフロートは、浮体構造物と係留システム、必要に応じて設置される海域制御システム、さらに上載構造物、陸上連絡施設からなる構造システムである。メガフロートを構成する個々の構造物はそれぞれ確立された設計法に基づいて設計されるが、これらの構造物を組み合わせた構造システムとして、メガフロートが必要な安全性レベルを達成しているかという問いかけがある。これに答えるためにリスク解析の手順に沿って、破壊シナリオの抽出、破壊シナリオの発生確率の評価について行われた取り組みを紹介する。

火災の事故調査

科学警察研究所 法科学第二部
萩本 安昭

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 火災の原因調査について、出火原因を判定するまでの調査の手順に沿って、いかにして出火範囲を限定して出火場所を絞り込み、出火原因の判定に至るかということについて解説した。特に、焼け方の特徴など現場に残る痕跡、ガソリンや灯油などの液体可燃物と着火源の関係、たばこによる火災、電気による火災などの具体例を挙げながら、基本的な考え方と誤りやすい注意点について解説した。

爆発の事故調査

総合安全工学研究所 事業部長
中村 順

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 爆発事故は、いったん起こると人的被害、物的損害も大きく、社会的にも重大な問題となる。事故原因を究明するということは、事故を防ぐ目的で行うものであり、そのためには事故現場の調査が最も大切である。爆発事故はいろいろなことが複合して起こる。これらを見落としたり、偏ることなく判断して原因を究明することが求められている。そのための事故調査方法について紹介する。

「神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例」の制定まで

その時代背景、条例の内容、そして現状と課題

地方独立行政機構 
神奈川県立足柄上病院 副院長
 (元神奈川県保健福祉部健康増進課長) 
 玉井 拙夫

 たばこの害については、発がんとの関連をはじめ、呼吸器障害、動脈硬化との関連が科学的に証明されてきた。1980年代には受動喫煙の健康影響が指摘され、世界的に法によるたばこ規制が始まった。神奈川県では国に先駆けて、「受動喫煙防止条例」を平成22年4月にスタートさせた。受動喫煙による健康への悪影響から県民を守るための公共的空間における新たなルールとしての条例成立までを述べる。

多剤耐性菌

 東京大学大学院 医学系研究科
病因病理学専攻感染制御学教授
    東京大学医学部附属病院
 感染対策センター長
 森屋 恭爾
 東京大学医学部附属病院
 感染制御部助教
 龍野 桂太

 ラクタム系抗菌薬、アミノグリコシド系抗菌薬、キノロン系抗菌薬、この3タイプが現在用いられる主要な抗菌薬だが、多剤耐性菌はいずれの抗菌薬も無効である。抗菌薬使用に伴って耐性菌が増加するため、まずは抗菌薬が多様される病院内で拡がりをみせていた。しかし、近年は病院外の市中でも報告されるようになってきており、医療界だけの問題ではなく社会全体の問題として、抗菌薬使用と多剤耐性菌について考える必要がある。


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166号/平成24(2012)年3月1日発行 特集号 「新エネルギー」

巻頭言「新エネルギーシステムへの期待と展望」

  株式会社三菱総合研究所
      リサーチフェロー  野口和彦

水素スタンドの安全対策

  一般財団法人石油エネルギー
  技術センター 自動車・新燃料部
       主任研究員   星野 緑

 水素スタンドは水素燃料電池自動車に高圧水素を供給する。一般高圧ガス保安規則第7条の3に、充填に関する安全技術基準が定められ、市街地で35MPaFCVに充填できる。尚、常用圧は40MPa(現在82MPa(70MPaFCV用)に向けKHKで審査中)である。水素スタンドは、蓄圧器や配管の破損防止の為、使用金属材料の制限を始め、火災検知等各種警報・自動停止装置、車両誤発進対策、障壁等により安全を確保している。

燃料電池技術の現状と課題

  横浜国立大学大学院 工学研究院
   機能の創生部門
            教授 光島 重隆

 燃料電池は電気化学的に化学エネルギーを電力に変換する発電システムであり、わが国では固体高分子形と呼ばれるタイプを中心に研究、開発されおり、この10年の技術的な進歩は著しい。現在、家庭用コジェネレーションシステムの普及が進められており、2015年頃には量産型の燃料電池自動車の販売が予定されている。また、再生可能エネルギーを基盤とするエネルギーシステムの中でも重要なデバイスであるが、本格的な実用化のためには材料やシステム技術の研究開発、社会基盤の整備、安全性に関わる基準や規格の整備などの課題も多い。今後の発展のために、更に広い分野の方々のご理解とご協力をお願いする次第である。

自動車駆動用リチウムイオン電池の輸送私見適正化への取組み

トヨタ自動車工業株式会社
第2技術開発本部 
  HVシステム開発統括部
  企画総括室 主査 朝倉 吉隆

 リチウムイオン電池は体積、質量あたりの蓄電容量に優れた電池で、大容量を必要とする電気自動車などへの適用が始まっているが、国連危険物輸送の分類でクラス9の「その他の有害性物質」に区分され、国際輸送においては国連勧告で規定された試験合格が求められている。この試験規定はもともと小容量の民生用電池を対象とした体系であることから、自動車駆動用など大容量組電池への適用については適正化が求められた。本稿はその取組状況の概要を紹介する。

再生資源燃料の熱的危険性とその評価方法の高圧ガス関係事故の傾向について

 消防大学校 消防研究センター
                 岩田 雄策

 近年、高圧ガスに関係する災害事故の件数が大幅に増加している。高圧ガスに関係する災害を防止するには、過去の事故事例を活用し、統計、原因分析等、様々な視点から解析し、周知することが重要である。本稿では、過去10年間に発生した災害事故について、高圧ガスの取扱い形態(製造、移動、消費及びその他)、原因、現象等、様々な区分により集計し分析を行い、その結果から判明した近年の高圧ガス関係事故における特徴、傾向について述べる。

 使用済みリチウム電池の安全管理

 リチウム電池の廃棄危険性と適正処理

 財団法人東京都環境整備公社
   技術部環境課 技術顧問 
            橋本 治

 近年、リチウム電池は小型電子機器の普及に伴い生産量、廃棄量ともに増加している。リチウム電池は高性能であるが、不適切な取扱や廃棄によるリスクも大きい。特に、使用済みリチウム電池を廃棄する場合には、適正な管理が必要であるが現状では十分といえない。本論は、リチウム電池が不適切に廃棄・処理された場合の危険性と適正処理について、廃棄物管理の視点から今後の方向性を示した。

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165号/平成23(2011)年12月1日発行

巻頭言「安全・安心な社会つくりへ」

旭化成株式会社 代表取締役社長 藤原健嗣

事故災害防止にむけたヒヤリ・ハット活用

三菱ガス化学株式会社 水島工場
環境保安室 八島 一也

 団塊世代の大量退職に伴い、経験した事の無い早さで従業員構成の世代交代が進んでいる。この結果として経験不足が原因と思われるミスやトラブルが少なからず発生しており、その頻度が過去の実績よりも増加傾向にある。このような傾向にストップをかけて減少傾向に導き、発生ゼロを継続して行けるよう、様々な安全活動に取り組んでいる。今回は当社工場における安全活動のうち、事故・災害防止の活動としてのヒヤリ・ハット活動とその活用事例について紹介する。

石油コンビナートを通過する高架道路等の設置に伴う防災アセスメント

財団法人 消防科学センター 研究開発部
調査研究第 1 課 平野 亜希子

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 石油コンビナート内に高架道路等を設置する場合の防災アセスメントでは、「コンビナートの災害が道路へ与える影響」と「道路上の災害がコンビナート へ与える影響」を考慮する必要がある。また、コンビナートでは、石油コンビ ナート等災害防止法に基づく防災体制が確立され、災害の発生と拡大の防止 に関する種々の対策が講じられていることから、関係機関における既存の防 災計画を確認し、道路新設による環境の変化に応じた防災計画の見直しを行う必要がある。

リスクに基づく材料の選択と活用(疲労損傷)

株式会社 IHI テクノソリューションズ
  シニアエンジニア  富士 彰夫

 疲労損傷は複合的な要因や幅広いばらつきを有する現象であり、疲労設計法 では様々な要因や安全率を考慮している。しかし、歴史的にみれば今後とも事故は起こり得る。その対策としてリスク評価を用いた最適検査やメンテナ ンス維持管理の重要性を示した。また、材料選定の現状とリスク低減効果を 示すモニタリングの必要性について言及した。さらにリスク評価では実機における定量的な損傷データベースの整備が必要であることを示した

近年の高圧ガス関係事故の傾向について

高圧ガス保安協会 情報調査部 事故調査課
佐野 尊

 近年、高圧ガスに関係する災害事故の件数が大幅に増加している。高圧ガスに関係する災害を防止するには、過去の事故事例を活用し、統計、原因分析等、様々な視点から解析し、周知することが重要である。本稿では、過去 10 年間に発生した災害事故について、高圧ガスの取扱い形態(製造、移動、消費及 びその他)、原因、現象等、様々な区分により集計し分析を行い、その結果から 判明した近年の高圧ガス関係事故における特徴、傾向について述べる。

職場のメンタルヘルス:現状、対策、これからの課題

東京大学大学院 医学系研究科 公共健康医学専攻 
  精神保健学分野 教授 川上 憲人

 事業場における職場のメンタルヘルス対策はしだいに普及しているが、増加するメンタルヘルス不調など問題は一層深刻化している。わが国の職場のメ ンタルヘルス対策は、国の指針に従って実施されており、その内容は科学的根拠のあるものである。国は、対策の一層の普及・拡充のために、「ストレス症状を有する者への面接指導制度」(仮称)と呼ばれるストレスチェックの義務 化の法制化を進めている。一方、職場のコミュニケーションや一体感の回復 により、いきいきと働ける職場環境を目指す新しい職場のメンタルヘルスのあり方も提案されている。

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164号/平成23(2011)年9月1日発行

巻頭言「全公益法人制度改革に向けて」

財団法人総合安全工学研究所
        理事長  都築 正和

リスクマネジメント

  住友生命保険相互会社
   損保事業部リスクコンサルタント
                 名合 正二

 リスクマネジメントは企業の安定と発展のために必須のものとなってきた。実践のポイントはリスクマネジメント・サイクルにあり、リスクの「洗い出し」、「分析・評価」、「処理方法の検討と実施」、「トレース」のサイクルを回すのが基本である。処理方法についてはPLリスクを例にして検討してみる。従業員のリスク感性を高めて「リスクに敏感な企業になる」ことがリスクに強い企業になることで、リスクマネジメントの真髄と言える。

ナノ材料の安全性評価の現状と製造・取扱時におけるリスク管理のあり方

  産業衛生安全工学研究所 
   環境計測管理研究グループ
            小野 真理子

 ナノは10のマイナス9乗、十億分の一をあらわす名詞であるが、ナノメートル(nm)レベルの物質を含む工業用材料をナノ材料と呼んでいる。素材の元素等が同じであっても、粒径や太さがレベルに小さくなることによって新たな機能が発現するため、ナノ材料は新材料として期待されている一方で、生体影響も懸念されている。本論文ではナノ材料の安全性評価の現状と労働現場におけるリスク管理について解説する。

火災感知の歴史

能美防災㈱ 研究開発センター
伊藤 尚

 明治時代から近代消防が始まり、防火建築、消防行政、消防技術の発展により、町中が消失していた火災が80年をかけて被害は劇的に減少している。火災感知器は大正時代から歴史が始まり、熱感知器、煙感知器、炎感知器と進歩し、設置対象も工場、劇場、デパートから高層ビル、船舶、トンネル、住宅と拡がり、火災被害の減少に貢献している。火災の歴史と火災感知器の変遷をたどりつつ、感知器の検出原理・用途を概説する。

自己反応性物質等の火災事例とその対策

消防庁 消防大学消防研究センター
                   古積 博

 自己反応性物質は爆発を起こしやすく、かつ激しいため、危険性は可燃性ガスや液体にくらべて大きい。そのため、消防法でも規制が厳しい。著者が関係したこの10年程度における代表的な自己反応性物質やそれに類似する物質の事故例を紹介し、その問題点、得られた教訓を述べる。

やさしい非破壊検査技術シリーズ 第5回
アコースティック・エミッション(AE)試験

  日本フィジカルアコースティック㈱
         代表取締役社長 湯山 茂徳

 AE(アコースティック・エミッション)とは、個体材料中に生ずる微小変化(たとえば微視欠陥の発生や成長、相変態、転移の運動など)により放出される超音波領域の弾性波のことを言う。この弾性波を、圧電素子を用いた特殊なセンサー(AEセンサー)で検出し、AE計測装置で解析することにより、金属製、複合材料製あるいはコンクリート製構造物などの健全性を評価する非破壊検査試験の一つとして、AE試験が広く適用されている。本稿では、AE試験の原理や計測方法について簡単に述べるとともに、様々な実情構造物における応用例を紹介する。

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163号/平成23(2011)年6月1日発行

巻頭言「安全文化を強化するのは社長の仕事ですよ!」

  安全工学会会長 丸善石油化学株式会社 特別顧問
                小野 峰雄

リスクアセスメントに基づく機械設備の合理的な安全設計手順

独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
                   池田 博康

 リスクアセスメント結果に基づいて機械設備の安全設計目標を定め、対象機械設備の残留リスクを目標まで低減するという安全設計の考え方と手順は、機械の基本安全規格体系で規定されている。規格で規定されるリスクアセスメント手順とそれに続くリスク低減手順を実施することにより、合理的かつ系統的な保護方策の選択が可能となることを示し、併せて各手順で考慮すべ石ポイントを述べる。

被覆下配管腐食のマネージメントシステムの構築に向けて

工学院大学 常務理事 工学部教授
木村 雄二

 我が国のコンビナート施設の多くは、既に築後30年以上を経過し、設備の高経年化にともなう劣化・腐食を原因とする高圧ガス事故が数多く発生している。本稿では平成19年度から経済産業省からの委託事業として実施している「被覆配管等の運転中検査技術に関する調査研究」のこれまでの成果の中から、CUI検査手法と維持管理マネージメントの現状、非破壊検査技術の信頼性確認、ならびにむ維持管理に関するガイドラインの作成と今後の課題などについて概説する。

構造材料のリスク

株式会社ベストマテリア 代表取締役社長
木原 重光

 構造物のリスクをもたらす構造材料の破損、不具合などの可能性を、構造材料のリスクと定義し、設計、製造 (材料調達、加工、据付)、運転および保全におけるリスクとその回避方法について述べる。材料の損傷機構をベースに、損傷要因となる応力、環境、材質および時間を考慮した許容応力設計、材料選定の腐食データ、調達における材料品質確保およびリスクベースメンテナンスなどを紹介する。

労働災害

中央労働災害防止協会技術支援部上席専門役
竹田 良二

 我が国では、毎年1,000件以上の「死亡労働災害」が発生している。これは毎日3件以上発生していることになる。労働災害は働く人の人生を一変することがある。本稿では、労働基準監督署が行っている労災保険給付面から被災後の労働者の状況を考えてみる。
 なお、労働安全衛生法では労働災害を、災害による負傷に限定せず職業性疾病など健康障害も含むこととしているが、本稿では主として災害による負傷について検討する。

やさしい非破壊検査技術シリーズ 第4回
赤外線サーモグラフィ試験

神戸大学街学院 工学研究科 教授
坂上 隆英

 近年、物体から放射される赤外線強度を基に物体表面の温度分布を画像化する赤外線サーモグラフィ試験が、装置の小型化、低価格化に伴って、非破壊試験技術の一つとして注目を集めている。本稿では、赤外線サーモグラフィ装置による状態監視に基づく設備診断・保守検査手法の原理の説明とともに、土木・建築構造物や複合材料のはく離等の異常部分の検出成果について解説する。

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162号/平成23(2011)年3月1日発行
          特集号 「いま知りたい海外渡航と健康管理」

巻頭言「産業保安の向上に向けた財団法人総合安全工学研究所の役割」

  財団法人総合安全工学研究所
                常務理事 田村 昌三

新型インフルエンザ時代の海外渡航

  東京医科大学病院 渡航者医療センター
                   教授 濱田 篤郎

 2009年に発生した新型インフルエンザの流行は健康被害こそ少なかったものの、蔓延するスピードの速さで注目を集めた。近年は感染症の流行が急速に拡大するという現象がたびたび見られているが、この主たる原因は交通機関の発達により高速移動が可能になったためである。そんな現代の疫病対策として、世界保健機関や各国政府は従来の検疫制度にかわる新たな対応を模索している。また、海外渡航者が滞在先で予防対策を実践し、感染症にかからないようにすることも大切である。本稿では、こうした予防対策について具体例をあげて紹介する。

海外渡航と感染症

渡航医学センター 
  西新橋クリニック 院長 大越 裕文

 衛生状態が悪い国や地域へ出張する場合は、滞在期間に関わらず感染症対策を講ずるべきです。専門の医療機関を活用することにより、たとえ出発直前であっても感染症対策は可能です。感染症予防は、滞在中の注意、予防接種が基本ですが、それだけで完全に予防することは困難です。大切なことは、下痢をした時、動物に咬まれた時、マラリア地域から帰国後に発熱した時など、感染症に罹患した疑いがあるときに重症化を防ぐための対応を取ることです。

糖尿病患者の海外渡航

 医療法人財団 慈生会
       野村病院 内科      溝渕 杏子  
              内科(副院長)三浦 靖彦

 糖尿病患者の増加に伴い、海外旅行をする糖尿病患者数も増加している。個々の病状は様々であるが、事前に万全の準備をし、旅行中の自己管理を行うことができれば、糖尿病であっても安全で、かつ快適な海外旅行を満喫することが可能となるであろう。

時差ぼけの基礎と対策

  株式会社日本航空インターナショナル
     健康管理部   松永 直樹

 4 ~ 5時間以上時差のある地域間を航空機で移動すると、睡眠覚醒障害を主とする「一過性の心身機能の不調和状態」が出現する。その成因は、①体内時計と生活時間の間のずれ、②体内時計が生活時間に順応する速度に各リズム間で差があり、リズム間の協調が乱れることの二つである。症状は、東方飛行が西方飛行に比べて症状が重い。対策には、明るい光、睡眠薬、メラトニンなどがあるが、明るい光、メラトニンはその利用のタイミングに留意する必要がある。

海外渡航と医療保険

  ANAセールス株式会社 CS 推進室長  北湯口 茂

  習慣、言語等の異なる海外で、万一、交通事故、病気、犯罪などのトラブルにあった場合を考えると、様々な不安があろうかと思います。特に海外では病気やケガの時の医療費、他人に与えた損害の賠償金、訴訟費用などは日本と比べて高額になることが多いです。このような不慮の事故や病気に備えるためには、海外旅行総合保険を利用することが最善の手段であり、実際に海外旅行総合保険を利用するにあたっての注意事項や補償内容の一部などを紹介させていただきます。

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161号/平成22(2010)年12月1日発行

巻頭言「ライフサイクル・マネジメントによる持続可能な低炭素社会構築への貢献」

東レ株式会社 代表取締役社長  日覺 昭廣

リスクに基づく材料の選択と活用

        コンサルタント  八木 晃一    

 機械や構造物が安全に機能を発揮するためには、その構成要素の材料の適切な選択と使用が重要である。信頼性向上、安全性確保のために取り組まれてきた例として、ここでは高温クリープ強度を取り上げる。国産耐熱材料の性能を保証するためにはのNIMSの長時間クリープデータ、先進プラント用新材料のデータ、老朽化プラントに対応する知識やデータが求められている。しかし、絶対安全はなく、コストなどとのバランスのとれた材料選択や活用が求められ、リスクに基づく思考が大切である。中国での材料使用安全にかかわる新しい取り組みも紹介する。

廃棄物処理と有害物質

株式会社エネルギー環境工学研究所
 代表取締役
 独立行政法人国立環境研究所
              客員研究員
                  安田 憲二

 多くの製品には鉛等の有害物質の他、レアメタルなどの希少金属が含まれている。これらの製品を廃棄物として処理・処分する際には、環境汚染防止や希少金属リサイクルを視野に入れておく必要がある。都市鉱山におけるリサイクルでは、特に希少金属については製品を大量に回収することが前提となる。このため、環境汚染防止技術の開発に加えて、損益分岐点を考慮した回収量の把握や効果的な回収方法など、今後検討すべき課題は多い。

安全性解析手法とHAZOP

  有限会社システム安全研究所 所長
                    高木 伸夫

 機械や構造物が安全に機能を発揮するためには、その構成要素の材料の適切な選択と使用が重要である。信頼性向上、安全性確保のために取り組まれてきた例として、ここでは高温クリープ強度を取り上げる。国産耐熱材料の性能を保証するためにはのNIMSの長時間クリープデータ、先進プラント用新材料のデータ、老朽化プラントに対応する知識やデータが求められている。しかし、絶対安全はなく、コストなどとのバランスのとれた材料選択や活用が求められ、リスクに基づく思考が大切である。中国での材料使用安全にかかわる新しい取り組みも紹介する。

音シグナルと難聴

   財団法人小林理学研究所 理事長
                  山下 充康

 「耳からの刺激」、すなわち音感覚は人にとって視覚同様に不可欠な感覚要素である。加齢等の要因で聴覚が鈍化する場合があるが、これを「難聴」と言う。難聴から逃れて音を正確に聞き取るために昔から様々な工夫がされてきた。近年、電磁気の技術が発達し、小型で高性能な補助的な耳、いわゆる「補聴器」が発明され、普及してきたが、補聴器はメガネと同様、個人ごとに調整されたものでなければならない。ここでは補聴器の正しい購入方法、装着方法について解説する。

やさしい非破壊検査技術シリーズ 第3回
超音波探傷試験

   国立大学法人横浜国立大学 安心・安全の科学研究教育センター
          客員教授   荒川 敬弘

  超音波探傷試験は、機器・構造物の品質管理や品質保証の重要な手段として、広く用いられており、コンクリートや複合材料など用途も拡大している。超音波探傷試験の特徴や原理などを紹介し、近年、実用化が進んでいる新しい超音波探傷技術のフェーズドアレー探傷やTOFD探傷についても解説する。

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160号/平成22(2010)年9月1日発行

巻頭言「世界最先端のレベルの安全・安心社会構築に向けて」

新日本製鐵株式会社 安全推進部長
社団法人日本鉄鋼連盟  安全衛生推進本部長
鹿毛和哉

走査電子顕微鏡で金属破面を見てみる

  横浜国立大学大学院 工学研究科 教授
                        梅澤 修

 材料の破断面には破壊の過程が記録されており、これを調査することによって、破壊機構あるいは破壊原因に関する情報を得ることができる。き裂発生部から最終破壊近傍まで、破壊過程のそれぞれについて、低倍率から高倍率までの観察を行うことが基本である。金属結晶を反映した破面を対象に、代表的な破壊形態を紹介し、その特徴と走査電子顕微鏡による破面の見方について述べる。

JIS から見た医療機器の安全性(下)

学校法人大阪滋慶学園
  滋慶医療経営管理研究センター
    主席研究員     小野 哲章

 現代医療は医用電気機器にその重要な一翼を担われている。それ故、その信頼性・安全性確保は安心・安全な医療のための重要課題の 1 つである。その1 つの手段が JIS による規制である。医用電気機器の電気的安全条件は一般の家電機器より10 倍から100 倍厳しい。患者が医療のために機器から逃げられない状態に置かれてしまうことと、機器が心臓に直接に接続される手技が多く採用されることからである。さらに、使用環境たる病院電気設備にも厳しい JIS が定められている。これらの背景と規制を概説する。

産業中毒事故とその分析

  独立行政法人産業技術総合研究所研究顧問  早稲田大学 客員研究員
                         若倉正英

 製造業では、化学物質による火災や爆発と並んで、有害物質との接触や吸引による中毒事故が少なくない。そこで、最近の産業中毒事例を収集し、事故の発生原因となりやすい化学物質や工程による危険性などについて分析した。その結果、化学物質に関する知識の乏しい機械産業や造船業では有機溶剤による中毒が多く、化学産業では原因となる物質が多岐にわたっていた。また、呼吸保護具の未使用や誤使用による事故も少なくなかった。

リレーエッセイ Hanabi ⑤
おもちゃ花火の世界

  社団法人日本煙火協会
    技術部長 兼 検査所長
                    畑中修二

バリエーション豊富なおもちゃ花火。メーカーや機能によって数百種類もあって、毎年100点以上もの新製品が発売されていr。その中から、ねずみ花火、爆竹、クリスマスクラッカーにスポットを当て、煙火技術の第一人者が、「由緒正しいねずみ花火とは?」「正真正銘のクリスマスクラッカーとは?」など、普段聞くことのない起源や謂われを紹介する。

やさしい非破壊検査技術シリーズ 第2回
放射線透過試験

  社団法人日本溶接協会 参与
                  大岡紀一

 各種非破壊試験の中で放射線透過試験は、検査対象物の内部のきずの検出に古くから用いられてきた歴史のある手法である。今回の<やさしい非破壊検査技術シリーズ>では、工業分野で一般的に適用されているX線、およびγ線を取り上げ、放射線の基礎と実際に撮影する手法について具体的に述べるとともに、装置などの取り扱いにおける安全管理についても触れた。さらに各種のきず検出のための放射線透過試験の適用について示した。

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159号/平成22(2010)年6月1日発行

巻頭言「高エネルギー物質を利用する地球環境の修復・改良技術の推進」

 独立行政法人産業技術総合研究所?研究顧問 財団法人総合安全工学研究所
                       藤原 修三

化学物質のリスク評価
  - 考え方、動向、課題 -

  社団法人日本化学工業協会 非常勤嘱託
  独立行政法人産業技術総合研究所
        安全科学研究部門 客員研究員
                        花井 荘輔

リスク評価に基づく化学物質の総合安全管理の重要性が言われて久しい。リスク評価の考え方と評価の過程の基本を概括し、EU の REACH の実施、日本の化審法の改正、米国のTSCA 見直しの方向性などの最近の動向をまとめて示す。リスク評価の実施、必要なデータの提供など、事業者が自ら取り扱う化学物質の安全管理に関して具体的な行動を強化して社会的責任を果たすことがますます求められる。そのために、わが国において必要な考え方などについて私見を述べる。

JIS から見た医療機器の安全性(上)
学校法人大阪滋慶学園
  滋慶医療経営管理研究センター
    主席研究員      小野 哲章

現代医療は医用電気機器にその重要な一翼を担われている。それ故、その信頼性・安全性確保は安心・安全な医療のための重要課題の 1 つである。その1 つの手段が JIS による規制である。医用電気機器の電気的安全条件は一般の家電機器より10 倍から100 倍厳しい。患者が医療のために機器から逃げられない状態に置かれてしまうことと、機器が心臓に直接に接続される手技が多く採用されることからである。さらに、使用環境たる病院電気設備にも厳しい JIS が定められている。これらの背景と規制を概説する。

車の安全性向上にむけた材料の役割

  新日本製鐵株式会社 鉄鋼研究所
        薄板材料研究部 部長 高橋 学

自動車の衝突安全性向上のためには、乗員の生存空間の確保と衝突時に乗員へ加わる加速度の低下が必要となる。例えば、車対車等の前面衝突の際には、車体前方部分の塑性変形で衝突エネルギーが吸収される。これらの部品には良好なプレス成形性と高い衝撃エネルギー吸収能が必要であり、柔らかいフェライト組織中に硬質相を分散させた複合組織鋼板、特に残留オーステナイトを含む低合金 TRIP 型複合組織鋼板の利用が有効である。

世代からみた交通事故死亡者数の減少に
ついて

  北海道大学大学院
   公共政策学連携研究部 准教授 萩原 亨

21 世紀になってから、日本の交通事故死者数の減少には目を見張るものがある。世界の交通安全先進諸国と比べても遜色がない。本稿を書くきっかけは、長年の交通安全政策が功を奏したと考えてよいかという疑問から始まった。ここでは、団塊ジュニア世代とそれ以降の世代を取り上げ、若年層世代の差異が大きな減少効果をもたらしたことを解説する。しかし残念ながら、なぜ世代間差が生まれたかを明らかにするまでには至っていない。

やさしい非破壊検査技術シリーズ 第1回
表面探傷試験
     磁気・渦流・浸透探傷試験

  横浜国立大学
   安心・安全の科学研究教育センター
        准教授          笠井 尚哉
        特任教授(研究担当) 関根 和喜

物を分解したり破壊したりすることなしに“きず”や“不具合・異状”を調べる非破壊検査は、人間で言えば健康診断にあたるもので、産業や社会の安全・安心を支える基盤技術として、今日その重要性がますます増してきている。そこで本誌では、産業現場で実際によく使われている各種の非破壊検査技術をやさしく解説するシリーズ記事を連載する。その第1 回は、材料の表層部に存在する“きず”を検出するための表面探傷試験の幾つかを紹介する。

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158号/平成22(2010)年3月1日発行
最新号

巻頭言「社会の持続可能な発展に向けて」

 住友化学株式会社 代表取締役社長
                         廣瀨 博

グリーン化学を実現する触媒

岐阜大学 名誉教授
財団法人名古屋産業科学研究所 上席研究員
独立行政法人産業技術総合研究所招聘研究員
                       杉 義弘

化学プロセスの環境負担削減に重要な役割を果たす触媒、特に従来の環境負担性の高い塩化アルミニウム、硫酸等に代わるゼオライト等の多孔質材料の触媒作用に関してその役割を議論する。

フルハーネス型安全帯のすすめ

独立行政法人労働安全衛生総合研究所
人間工学・リスク管理研究グループ 首席研究員
                       深谷 潔

わが国では、墜落阻止のための安全帯としてフルハーネス型安全帯と胴ベルト型安全帯が認められているが、ISO等の規格では前者のみ認められている。その理由として、墜落阻止時、およびその後の吊り下げ状態での人体への負担の大きさがある。文献調査等によって、フルハーネス型安全帯と胴ベルト型安全帯の人体への負担の違いについて、検討した結果を紹介する

リスクマネジメントにおける
          ヒューマンファクター

株式会社三菱総合研究所研究理事 野口 和彦

ヒューマンファクターには、ヒューマンエラーと呼ばれるミスに関する事項とともに、人間が持つ性向も含まれる。リスクマネジメントを安全問題に適用する場合、ヒューマンファクターは重要な検討要素となる。ヒューマンファクターを要因に持つ事象のリスクに関して分析を行う場合は、ヒューマンファクターの多様性とヒューマンファクターに基づいた失敗の発生確率が個人やそのおかれている状況によって大きく異なるという特徴を把握し、その影響を的確に反映した分析を行うことが重要となる。

リレーエッセイ Hanabi(4)
海外花火事情

  株式会社丸玉屋小勝煙火店 代表取締役
  社団法人日本煙火協会 副会長
                      小勝 一弘

戦後いち早く海外の花火市場を開拓した会社に在籍した筆者は、30数年間におよそ50カ国を訪れ、日本の花火の打ち揚げや商談を行ってきた。最初のアメリカ、ウォルト・ディズニー・ワールドをはじめ、各国での花火打ち揚げ体験を基に、日本と海外の花火の技術・文化の違いなどを紹介する。

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157号/平成21(2009)年12月1日発行
最新号

巻頭言「安全」と「医療安全」

  東京大学医学部附属病院 手術部部長
                  教授  安原 洋

津波被害の実態と今後への備え
インド洋津波の教訓

  早稲田大学理工学術院 教授 
  横浜国立大学 名誉教授     柴山 知也

2004年12月26日に発生したスマトラ沖地震津波による被害調査を、インドネシアのスマトラ島北端およびスリランカ南部で行った。インドネシアのRhitingは外洋に突き出した半島に位置しており、2つの小山の鞍部を津波が乗り越えていた。ここでは局所的な地形および急峻な海底勾配などの諸条件が重なり、48.9mという津波痕跡高を計測した。近隣のLepungでは海岸線から山崖までのおよそ900mにわたる平地が津波の氾濫により、荒野と化していた。津波による被害の度合いは各地域の地形的・社会的特性に強く依存していた。津波への備えを固めるためには、それぞれの地域でのこれらの地形的・社会的特性を把握したうえで、それぞれの地域の住民が災害時の具体的な避難のイメージをあらかじめ持っていることが重要となる。

危険物の輸送について

  東京大学 環境安全研究センター
            センター長 教授  新井 充

危険物の輸送に際しては、その輸送機関の事故等により、積載されていた危険物が公衆に暴露され、また被害を及ぼす可能性等があるため、そのリスク管理が必要となる。危険物の輸送における安全性を確保するためには、危険物を分類し、その危険性に応じた輸送手段を講じる必要がある。ここでは、国連危険物輸送勧告、消防法危険物、国連GHSにおける、危険物の分類とその考え方について、簡単に説明した。

川崎病の突然死予防にむけて
最新の画像診断技術の進歩より

  東京逓信病院 小児科 部長  鈴木 淳子

川崎病は乳幼児の疾患で冠動脈瘤を形成すると、生涯にわたり心筋梗塞や突然死予防のために冠動脈画像診断による経過観察が必要とされる。定期的に心臓カテーテルによるX線冠動脈造影検査が行われているが、痛みもあり危険性も高く頻繁に行える検査ではない。最近MRIの進歩により無害で簡便に冠動脈や心臓の画像診断が可能となり、とりわけ検査頻度の高い乳幼児には理想的な検査であり早急な普及を期待している。

リレーエッセイ Hanabi(3)
打ち揚げ花火を粋に楽しむ

 社団法人日本煙火協会専務理事 河野 晴行

日本の打ち揚げ花火は、技術的にも芸術的にも完成度が高く、世界でもトップレベルを誇る。全国各地の花火大会は、花火職人の技術の集大成であり、 “匠のこだわり”が「玉名」にも表現されている。来夏すぐに応用できる “粋”な花火鑑賞法を、日本を代表する花火師が紹介する。

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